バス×フェリーで直売所連携 貨客混載で農産物融通 福島・会津と新潟・佐渡
福島県のJA会津よつばと新潟県のJA佐渡は、高速バスとフェリーを使い、特産を互いの直売所に運んで販売する試みを始めた。直売所間連携で一般的な宅急便に比べ、輸送費は3分の2以下に抑えられる。トラックドライバー不足が懸念される「物流2024年問題」が迫る中、トラック輸送に頼らない貨客混載で、魅力ある売り場づくりや特産の販路拡大を進める。 全国で高速バスの空きスペースを使った農産物の貨客混載輸送などを手がけるアップクオリティ(東京)が両JAに提案し、実現した。JA直売所間の商品取引は各地で行われているが、輸送手段は宅急便が主流で、貨客混載は全国で初めてという。 会津若松市内と新潟市の新潟港間を高速バス、新潟港と佐渡島間をフェリーで運ぶ。荷物は発送当日に届き、翌日にそれぞれの直売所店頭に並ぶ。月1回ペースで商品取引を行う予定だ。 両JAは10日、初めて相手先へ荷物を発送した。JA会津よつばはホウレンソウ、小松菜、馬肉など約260キロ、JA佐渡はイカ、マアジ、おけさ柿など約260キロ。11日にはそれぞれの直売所で販促イベントを行った。 JA会津よつばの担当者は「JAの直売所に生鮮の海産物はなく、佐渡の商品が販売できることで集客につながる」と話す。JA佐渡の担当者は「今後も季節ごとの農畜水産物を届け、量も増やしたい」と語る。 アップクオリティの泉川大代表は「少子高齢化で直売所の売り上げが苦戦する中、今後は外商や集客力強化が一層大切になる」として、貨客混載によるJA間の連携を広めたい考えだ。(木寺弘和)
日本農業新聞