月1万5,000円に苦しめられ…東京に憧れた〈手取り月16万円〉23歳女性の悪夢「こんなはずじゃなかった」【FPが解説】
救済制度を利用する
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)では、返還が難しい事情が発生した場合、次のような制度を利用することができます。 (1)月々の返還額を少なくする(減額返還制度)【減額返還制度】 一定期間、月の返済額を2分の1または3分の1に変更することができます。返済期間は返済額を2分の1にした場合は2倍、3分の1にした場合は3倍になります。適用期間は最長15年で、1年ごとに願出(制度の利用を願い出る願書を提出すること)が必要です。 (2)返還を待ってもらう【返還期限猶予制度】 災害、傷病、経済困難、失業など返還困難な事情が生じた場合に、一定期間返還期限を先送りする制度です。適用期間は最長10年間で、1年ごとに願出が必要です。 これらに加えて、令和6年能登半島地震に遭われた返還者にも返還期限猶予の制度が設けられています。いずれの制度も申請が必要で、借入金がなくなるわけではありませんが、どうしても大変な場合は利用を検討してみましょう。 滞納してしまうと、延滞金が発生し、延滞が3カ月以上続いた場合には個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録されてしまいます。個人信用情報機関に登録されてしまうと、クレジットカードの発行ができなくなったり、自動車ローンや住宅ローンなどのローンが組めなくなったりする場合もあります。 返済が厳しくなったら、滞納する前に、まずは窓口に相談してみましょう。
Aさんのその後
Aさんは都会での生活に疲れてしまい、結局は母親の勧めで仕事を辞めて実家に戻ってしまいました。 「都会の一人暮らしはお金がかかりすぎます。父親には『いきがって出ていったくせに1万5,000円程度の返済もできないのか』と怒られましたが、本当に大変だったんです。私のお給料が低いのかもしれませんが、自分の収入に見合った生活を考えると、実家に戻ったほうがベストだと判断しました。再就職先でのお給料は若干減りましたが、お小遣いも増えたし、結婚資金も貯められます。いま考えると、何百万円もかけて大学に行っても私にとっては時間とお金の無駄使いだったと思います。将来のことを考えて、もっとちゃんと勉強しておけばよかった、と反省しています」 と、Aさんは言います。 川淵 ゆかり 川淵ゆかり事務所 代表