このままでは家賃が爆上がり!人口減少の日本で家不足が深刻化する“矛盾”のカラクリ
20~24歳の人口の中で世帯主である確率は2015年の29.3%から2020年には32.6%へと3.3%増え(11%増)、25~29歳は同38.9%から44.8%へと5.9%増え(15%増)、30~34歳も同42.7%から46.1%へと3.4%増えている(8%増)。この多くが単身世帯となる。この年代(20~34歳)の世帯増加は5年で328万8579に及ぶ。1年換算で約65万世帯が増えていることになる。 ● パラサイト・シングルから一転、 なぜ若者は実家を出たがるのか 直近5年間のこの大きな変化を起こした若者の行動原理が理解できなかったので、独自にネットでアンケート調査を行ってみた。首都圏在住の18~29歳一人暮らしのみに聞いた結果をお伝えしよう。 一人暮らしする理由は、約半数が通勤・通学の時間の短縮で、残りが家を出たかったというものだ。たとえば、「親元から離れて生活したいから」「一人暮らしに憧れていたから」「実家では暮らしたくない理由があるため」「一人で暮らしていける生活力を身につけたいから」といった選択肢になる。 しかし、この年代の若者は、実家にパラサイトするよりも、一人暮らしをしたいとしてもかなりのコストを払うことになる。その証拠に、一人暮らしをするにあたって不足していたものを聞くと、「初期費用の資金」がトップで41%、次に「毎月の収入」が36%となっている。 それでも実家を出る理由は単一ではなく、複雑なものだと想定し、見聞したリアルな個別事情の事例を思い出すと、その裏に「家族崩壊」があるのではないかと邪推してしまう。両親の不仲や家族との確執、過干渉への抵抗、家庭内暴力、金銭問題など様々なものから自己を隔絶するには、世帯を割って外に出るしかないという複雑な事情が存在しそうだと考えているのだ。 このため、若者の実家離れに最も影響を与える経済指標は有効求人倍率となる。これは仕事を探す人に対する求人の数で、コロナ禍にも顕著な関係性を示した。コロナ禍で政府は緊急事態宣言と共に経済を止めたために、飲食や宿泊業などの労働集約的な産業での非正規雇用はそのほとんどが解雇された。