ケリング、24年7~9月期は15%減収 主力「グッチ」は26%減収と引き続き不調
アルメル・プールー(Armelle Poulou)最高財務責任者(CFO)はアナリスト向けの決算説明会で、9~10月には業績がやや上向きになったものの、10~12月期(第4四半期)に大幅な改善は期待できないと説明。このため、24年度の営業利益はおよそ25億ユーロ(約4125億円)と、前年度の約47億ユーロ(約7755億円)の半分程度になる見込みだと述べた。
なお、同社は効率性と生産性の改善のため、人員削減、サプライヤーとの契約条件の再交渉、物流の見直し、設備投資や企業支出の抑制などのコスト削減策を実施。また、投資家にニューヨークやパリの一等地にある店舗に投資してもらい、主要オーナーとする契約を年末までに締結する予定で、これによりおよそ14億ユーロ(約2310億円)のキャッシュを獲得する見込みだという。
急務である「グッチ」復活はまだ遠く
ケリングが成長軌道に戻るためには、売り上げの半分程度を占める「グッチ」の復活が急務だ。ちなみに、同社の上半期における営業利益の64%近くを「グッチ」が担っている。
しかし、回復の道のりは簡単なものではない。「グッチ」はもともと中国市場への依存度が高いブランドで、9月30日の時点で西欧における直営店数が103店なのに対し、日本を除くアジア太平洋地域では183店を構えている。なお、第3四半期における地域別での売上高は、西欧が同19%減、北米は同20%減、日本は同5%減、日本を除くアジア太平洋地域は38%減だった。
23年1月に就任したサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)=クリエイティブ・ディレクターによるコレクションは、24年2月後半から販売を開始。同氏による新作が売り上げに占める割合は、第1四半期には7%以下、第2四半期には25%程度だったが、第3四半期はおよそ35%となっている。
なお、かねてより明らかにしていた通り、9月には新作バッグとして2490ドル(約37万円)の“GGエンブレム(GG Emblem)”、4100ドル(約67万円)の“グッチ B(GUCCI B)”、4200ドル(約69万円)の“グッチ ブロンディ(GUCCI Blondie)”などを発売。売り上げへの貢献に期待がかかるが、プールーCFOによれば、いずれも「既存の顧客から非常に好評」ではあるものの、やはり客足の減少が響いているという。