“ワンバー”のハーマン/カードンと“ワイヤレスリア”のJBL。注目サウンドバー聴き比べ
今回取り上げるのは、サウンドバー。もはや説明不要の薄型テレビと組み合わせて使うスピーカーで、薄型テレビの手前の空いたスペースに置くだけで、2ch音声からサラウンド信号まで再生可能、薄型テレビの音のグレードアップができる人気アイテムだ。 【画像】試聴用にセットしたEnchant 1100。横幅は1150mmとけっこう長く、50~65型くらいの薄型テレビとマッチする サウンドバーはその名の通りバータイプのアンプ内蔵スピーカーで、細長い棒(バー)のような形状をしている。初めて日本に登場したときにはキワモノ扱いだった。あまりにもスピーカーらしからぬ形だったからだろうか。ところが、現実にはかなり注目を集め、あっという間にテレビ用スピーカーの定番的存在となり、オーディオメーカー、スピーカーメーカーの多くが参入して、今やひとつのジャンルとして定着している。 初期には、テレビのスタンドの下に置く、ピザボックスタイプのものも登場していたが、こちらは現在のところほとんどみかけない。 普及が進んだ理由としては、1本のバーで完結していること。設置性や接続が不要という簡単さが受けた。 DVDの爆発的な普及でサラウンド再生システムも注目を集め、一部の人がAVアンプを導入して本格的な5.1chシステムを実現したが、実際に使ってみると、部屋の後ろにあるリアスピーカーが特に邪魔、サブウーファーの低音が近所迷惑など、実際の生活空間での使い勝手に問題があることがわかってきた。そんな時期に登場したのがサウンドバーだ。 当時登場しはじめていたヴァーチャルサラウンド技術を使って、前側のスピーカーだけで後方の音まで再現可能ということで、スピーカーが邪魔という人に好評だった。 ジャンルが形成されると、スタンダードな普及モデルだけでなく高級モデルも登場してくる。サブウーファーが別体となる2ピースタイプ、薄型テレビの大画面化に合わせて横幅が1mを超えるような大型モデルなどが登場。今ではワイヤレス技術が発達したことで、別体のサブウーファーはほぼワイヤレス化を果たし、なかにはリアスピーカーをワイヤレスで接続可能とするかなり本格的なモデルも登場している。 というわけで、今回紹介するのは、ハーマン/カードン(harman/kardon)の「Enchant 1100」(実売12万9800円)と、JBLの「BAR 1000」(実売14万3000円)の2モデルだ。 Enchant 1100がサウンドバー一本で完結したオール・イン・ワン型なのに対し、BAR 1000はサウンドバーに着脱可能なワイヤレスリアスピーカー、ワイヤレスサブウーファーがセットになったタイプとはっきりと異なる。価格としては高級価格帯にあたる2モデルだが、この違いは前述の登場から普及にかけての“進化の過程”がそのまま反映されていると考えていい。 サウンドバー本来の接続も設置もシンプルに行なえるバータイプか、リアスピーカーを後方に置くこともできる本格的なホームシアタータイプかの違いだ。その両者の違いも確認しつつ、サウンドバーの魅力について紹介していこう。 ■ ハーマン/カードンって、どこのブランド? JBLはオーディオにあまり詳しくない人でもご存じのメーカーのひとつだが、ハーマン/カードンはあまり知らないという人は少なくないだろう。ハーマン/カードンは1953年にアメリカで設立されたオーディオメーカー。世界初のレシーバー(チューナーとプリメインアンプが一体化したもの。北米や海外ではプリメインアンプはレシーバーであることが一般的)を発表したことで知られる。 あまりオーディオに詳しくない人に向けて、Hi-Fiオーディオ製品を広く普及させようとしたメーカーであることは覚えておいてほしい。 現在のハーマン/カードンは、カーオーディオやホームオーディオでグローバルに活動していて、世界のさまざまなブランドのカーオーディオを供給。車に詳しい人ならよく知っているかもしれない。また、ノートパソコンのオーディオ回路やスピーカーが採用されることも少なくない。ホームオーディオの製品もPC用スピーカーなどが日本でも発売されていたが、JBLと比べてしまうと知名度は低いだろう。 そんなハーマン/カードンとJBLだが、実はハーマンインターナショナル(現在はサムスン電子傘下)に属するグループ企業だ。日本のメーカーで言うとデノンとマランツの関係に似ている。異なるメーカーと認識していたブランドが実は同じグループだったというのは意外かもしれないが、今やそれほど珍しいことではない。 ブランドが有名他社に吸収合併されると聞くといろいろ心配になるかもしれないが、合併によってそれぞれの技術資産を共有できるなど、悪いことばかりではない。それにJBLがハーマンインターナショナル(当時はジャービス・コーポレーション)の傘下になったのは1969年(昭和44年)で、今さら慌てても仕方のない話だ。 そのため、ハーマン/カードンのEnchant 1100とJBLのBAR 1000は、同じ企業の別ブランドの製品というわけで、技術的にも共通したところがある。ブランド名だけ違うが、まったくの双子のような製品というわけではなく、むしろコンセプト的には真逆と言える製品になっているのも興味深いところだ。 ■ Dolby Atmos、DTS:X対応、ネットワーク機能やHDMI(eARC)も備える高機能 というわけで、Enchant 1100とBAR 1000は機能的な共通項は多い。というか、サウンドバーとしての基本的な機能はほぼ共通だ。まずはそこから紹介しよう。サラウンドフォーマットへの対応はDolby Atmos、DTS:X。当然ドルビーデジタルやDTSなどの下位のフォーマットにもすべて対応する。Bluetooth、Wi-Fiも内蔵し、AirPlayやChoromecast、Spotify Connectに対応。スマホの音楽配信、動画配信サービスの音声をネット経由で再生できる。 HDMIはEnchant 1100が1入力1出力(eARC対応)、BAR 1000が3入力1出力(eARC対応)となる。映像信号のパススルーでは、4K/HDR対応で、Dolby VisionとHDR10のHDR規格に対応する。 異なるのは内部のスピーカー。Enchant 1100は、55×90mm楕円形ドライバー×6、25mmツイーター×3、70mmアップファイアリングフルレンジドライバー×2の合計11個。アンプの総合出力は315Wだ。ボディはほぼ全面をファブリック生地で包まれたデザインなので、前面のスピーカーや天面にあるアップファイアリングスピーカーの所在がわかりにくいが、サラウンド用のスピーカーは側面に露出している。角度のついたすり鉢状のウェーブガイドの奥に配置されている。 なお、製品としてはオール・イン・ワン型だが、オプションでワイヤレスサブウーファーも用意されている。また、国内では未発売だが海外ではワイヤレスリアスピーカーも発売されているようだ。シンプルに使えるモデルとしているようなので、発展性は制限しているのかもしれない。 外観としてはファブリック生地で包まれたシンプルな形状で、操作ボタンも3つと少ない。Wi-Fi設定などはスマホ用アプリを使う仕様なので実用性は問題ない。日常的な操作をシンプルに使えるようになっている。ディスプレイは前面に右側にあり、操作をすると入力名などを表示する。普段はディスプレイが見えないようになっているのも徹底したシンプルな意匠だ。背面を見ると、わりと大きめのバスレフポートがある。付属のリモコンもボタンは最小限となっている。 BAR 1000の方は、46×90mmレーストラック型ウーファー×5、20mmツイーター×3、70mm天井反射用フルレンジドライバー×2、これに加えて左右それぞれに着脱式のワイヤレスリアスピーカーがあり、こちらには20mmツイーター×1、70mm天井反射用フルレンジドライバー×1が備わっている。これで合計14個。 さらにワイヤレスサブウーファーとして、250mmドライバー×1がある。アンプ出力は合計880W。サウンドバー440W、ワイヤレスリアスピーカー70W×2、サブウーファー300Wだ。価格はこちらが少し高いが、それでもサブウーファーやリアスピーカーもセットになっていることを考えるとお得感はある。 本体の操作ボタンは3つで、Enchant 1100と同じ。ディスプレイも本体のカバー内にあり、文字表示なども似た印象だ。リモコンはサイズは同じだが、ボタン配置やロゴが異なる。 こちらのコンセプトとしては、サウンドバースタイルで手軽に使うこともできるが、リアスピーカーを外して後方に置いて本格的な7.1.4ch再生もできるフル装備型といった感じだろうか。 リアスピーカーはワイヤレスでしかもバッテリー内蔵なので完全ワイヤレスで使える。小型なので置き場所にも困らない。しかも装着時はバッテリーへの充電も行なうなど、使い勝手も工夫されている。サブウーファーはやや大きめではあるが、電源だけで配線も不要なので邪魔のならない部屋の隅に置くといいだろう。ダウンファイヤー型でしっかりとした脚もあるのでリビングでも使いやすいだろう。 Enchant 1100とワイヤレスリアスピーカーを装着したBAR 1000を並べてみると、寸法はどちらもだいたい同じであるとわかる。スピーカー構成などを含めて異なる個性を持つモデルだが、高さを抑えたスリムな形状などの共通する部分も多い。まったく同じコンセプトとして、それぞれのブランドの音の違いだけで勝負するというのも面白そうだが、実際に聴き比べないと違いがわからないというのは、商品としてわかりにくい。着脱式を含めたフル装備タイプとオール・イン・ワン型のどちらかを選ぶか。という、生活空間とのマッチングも重要になるサウンドバーでは、ブランドでこうしたラインナップにするのは正解だろう。 ■ 両者の実力をじっくりと聴き比べてみた サウンドバーなので設置は比較的簡単だが、開梱や梱包箱のサイズなどでは大きな差になった。オール・イン・ワン型のEnchant 1100は無理をすれば手持ちで持って帰れるサイズ感(電車などを利用する場合、横幅が長いのでかさばりそうだが)、BAR 1000は梱包箱を見た瞬間に配送を選択することになるサイズと重量だ。 もちろん、Enchant 1100の方が開梱も早い。箱から本体を出すだけのようなものだ。BAR 1000は本体とワイヤレスリアスピーカーも分離した状態だし、サブウーファーも大きく重い。開梱作業は基本的に楽しい時間だが、手間暇の差はそれなりにある。 セットアップはどちらも自動音場補正があるが、基本的には共通。リモコンのCARIBRATIONボタンを押すと、後はほぼ自動でテストトーンが鳴り、それを解析してすべて完了となる。BAR 1000の場合はリアスピーカーの着脱時には再度自動音場補正をしなおした方が良さそうだが、自動音場補正にはメモリーがないので、頻繁に着脱を繰り返す時には少々煩雑になると感じた。 まずはEnchant 1100。聴き慣れたクラシック曲などを聴くと、高域はやや硬めだが細かな音まではっきりと描く音だ。解像感の高い音でなかなかHi-Fiオーディオに近い感触だと感じた。低音も十分に鳴り、しかもだぶつくような感じもない。 低音のレベルを5段階で増減できるが、音楽ならば中央値の「0」で十分。再生音量が大きめ(ボリューム表示で18~20)なので、これよりも小音量ならば低音を少し増やすといいだろう。映画の音としてはややタイトな低音と感じるが、音楽再生ならばフラットに近いバランスで、力感などの不足もない。クセのない素直な低音だ。 アニメ映画「ルックバック」の主題歌「Light Song」を聴くと、清らかな高い声も厚みがあり、実体感のあるボーカルが目の前に浮かぶ。後方で合唱をするコーラスもほどよく広がり、前後の奥行き感もなかなか良好。音の広がりというかサラウンド感も、過剰なサラウンド感を付加することもなく良質なステレオ再生に近い自然な広がりだ。 サラウンド効果については、ソース(2ch音声かサラウンド音声か、など)に合わせて最適なサラウンド効果を付加する「Smart mode」とサラウンド効果などを付加しない「Standard mode」が選べるが、サラウンド:オン/オフと考えてよいだろう。 「Smart mode」でもステレオ音声ならば広がり感は自然で違和感もないので、「Smart mode」のままでも良いかと感じた。「Standard mode」はより色づけの少ない音質になるが音の広がりはやや狭くなる。きちんとセッティングされたオーディオ用の部屋ならばその良さもわかるかもしれないが、自宅試聴室で使った場合は音がスピーカー(下の方)から出ているのがわかってしまうのが気になった。 セッティング等でこれを解決するのは少々面倒だし、本体の下にいろいろと挟むので見た目の影響もある。あまりマニアックにセッティングを追い込むよりは「Smart mode」で聴くのが便利だと思った。 今度はBAR 1000。こちらはわかりやすい“映画の音”だ。音はメリハリが効いて主要な音がはっきりと聴こえるし、低音も別体サブウーファーのおかげで量感たっぷりのパワフルな音だ。 音楽もノリノリで楽しく聴けるし、味付けが気になるほどメリハリを付けすぎてはいないが、クラシックの楽器の音色の質感とか、ボーカルのニュアンスをきめ細かく聴きたいと思った時には物足りなさも感じる。エネルギッシュで楽しい音だがEnchant 1100と比べるとやや大味な感じもある。 こちらは特にサラウンドモードの切替のようなものはなく、常時ソースに合わせて最適なサラウンド感を付加するモードのようだが、こちらもサラウンド感に違和感はない。良質なステレオ再生に近い再生で広がり感も自然だ。 「良質な」と書いたのは、サウンドバー特有の左右のスピーカーの距離が短いことに起因する広がりの狭さ、サウンドバーのある下の方から音がする不自然さを解消している点。Enchant 1100で「Smart mode」の方が自然なステレオ感になるのと同様だ。 こうしてステレオ再生の音楽を聴いてみると、両者の音の違いがはっきりとわかる。Enchant 1100は色づけの少ないHi-Fi調の音、BAR 1000は映画の音を意識したメリハリの効いたパワフルサウンドだ。決してJBLが派手すぎるというわけではないし、きちんと聴いて楽しい音だが、クソ真面目なHi-Fi的感覚だと味付けが濃い。 逆に言えば、Enchant 1100は元気のいい音源を鳴らせば元気よく鳴るが、味付けとしては薄味と言えるかもしれない。音楽配信サービスの利用も含めて、どちらが音楽再生にあうかといえばEnchant 1100だが、このあたりは好みで選んでいいと思う。 ■ 「マッドマックス:フュリオサ」で、爆音サウンドを聴いてみる 今回の良品は、「マッドマックス:フュリオサ」だ。 「マッドマックス:怒りのデス・ロード」のスピンオフで、イモータン・ジョーの元で大型トレーラーを操っていた戦士フュリオサの過去を描く物語。もちろん、監督は偉大なるジョージ・ミラー。単なる前日譚ではなく、怒りのデスロードで提示されたインパクトの大きな世界観をより深く見せる内容になっていて、フュリオサファンだけでなく、むしろイモータン・ジョーをはじめとするウォーボーイズ達に心酔したV8教信者の皆様ほど見たほうが良い作品だ。 Enchant 1100で、デュメンタス率いるバイク軍団にフュリオサが拉致され、母が救出するものの失敗という場面を見た。砂漠のような丘陵地を爆走するバイクのエンジン音や走行音は十分にパワフル。ライフルで遠距離から狙撃するときの射撃音もリアルな感触だ。音楽も十分にパワフルでデュメンタスらのバイク乗りたちが今までとはひと味違うイカれた集団だとわかる。むしろ、母との別れや無理矢理にデュメンタス達に連れ去られていくフュリオサの復讐心がよく伝わる。 同じシーンをBAR 1000で見ると、さすがに低音の底力というか、爆音はよりそれらしくなる。しかも、リアスピーカーを分離して後方に配置。再度自動音場補正も行なっているので、砂漠を走るバイクの移動感や空間感、特に砂嵐に乗じてフュリオサを救出しようとするときの風がテントを激しく揺らしている感じがよく出る。 メリハリの効いたパワフルなサウンドも映画にはぴったりだが、フュリオサの悲しみや憎しみを伝えてくるシーンは抑制の効いたサウンドとなるので、いつでもドンチャカとやかましいわけではない。このあたりのバランスの上手さは演出はするが過剰にはならないJBLらしい味付けだ。映画館用スピーカーも手掛けるJBLならではの魅力だろう。 続いて、水を運ぶトレーラーとバイク軍団の対決や弾薬畑でのデュメンタスとの対決シーン。Enchant 1100でも思ったほど低音感に不足はない。オール・イン・ワン型としてはかなり優秀だと思う。サブウーファーが受け持つようなローエンドはさすがに出ていないが、きちんと映画らしい迫力はある。 サラウンドの空間再現はさすがに前方寄りになり、前方の広がりや奥行きは出るものの、前後を移動するような音は試聴位置のあたりまでで後方は漠然とした再現になってしまう。この点はオール・イン・ワン型では仕方のない部分だろう。運転席で鳴り響いているエンジン音に包まれるような感じはあるが、後ろから迫るバイクの気配はやや希薄だ。 「マッドマックス:フュリオサ」という作品自体が、作品の最初から最後までひたすら爆走していた「マッドマックス:怒りのデス・ロード」に比べると、フュリオサが成長していくなかで数々の登場人物との出会いと別れがあり、きちんとしたドラマになっている。そこが物足りないという人もいるが、そのあたりのフュリオサの成長や不屈の精神を見たいと思った時、派手なアクションばかりでなく、フュリオサの痛みや悲しみをきちんと描いているのはEnchant 1100だと感じた。 だから、「マッドマックス:怒りのデス・ロード」にバッチリ合うBAR 1000では、トレーラーとバイク軍団によるカーチェイスやバトルが断然に楽しい。見る前はトレーラーとバイクのケンカなんて勝負にならないと思ったものだが、バイク軍団はパラシュートやハンググライダー的な翼を装着して飛ぶ。 そして空から火炎瓶のようなものを投げて攻撃するような立体的な攻撃をする。これは見応えもあるが、サラウンド的にもよく出来ていて飛行したバイクが上空から攻めてくるときの高さ感や移動感をしっかりと再現している。フロント側とリア側の両方に天井反射用スピーカーを持つBAR 1000ならば、そうした上空の移動感も見事に描く。 迫力があってパワフルなサウンドだから、アクションも映えるし緊迫感もたっぷりだ。V8エンジンの野太い排気音もしっかりと出るし、後部にある巨大な鉄球を振り回す愉快な攻撃も不思議なくらい興奮してしまう。本作の場合、要所でドラマシーンが挿入され、アクション一辺倒でいかないせいもあり、アクションの余韻が強すぎてしんみりするドラマが物足りなく感じてしまうこともあった。 ■ それぞれの個性の違いがよくわかるふたつのサウンドバー 音質の傾向や色づけの少ない音のサウンドバーは意外と貴重な存在で、サウンドバーが映画用だけでなく音楽配信サービスなども楽しむ家庭用のオーディオ装置となっている現在、重要な要素になると感じている。個人的にはワイヤレスサブウーファーや海外で発売されているワイヤレスリアスピーカーも組み合わせた音も聴いてみたいが、価格としてはそれなりになるし、だとすればAVアンプと複数のスピーカーのシステムの方がポテンシャルは高そうな感じもあって悩ましいところだ。 Enchant 1100とBAR 1000の評価としては、映画(特にアクションもの)用としてはBAR 1000がおすすめだし、映画も見るが、テレビ放送や音楽サービスを利用することの方が多いならばEnchant 1100がおすすめだ。それぞれに個性が違うのではっきりと明言はしにくいが、音質が優れるのはEnchant 1100。BAR 1000は映画に振った音質は決して物足りないわけではないが、ワイヤレスリアスピーカーやワイヤレスサブウーファーのコストを割いたぶんだけ、絶対的な音質は及んでいないと思う。 もちろん、ワイヤレスリアスピーカーやワイヤレスサブウーファーがあるからこその、映画用スピーカーとしての実力の高さがあるのは間違いない。予算14万円でAVアンプとスピーカー、サブウーファーによる7.1.4chを構築してみせろと言われたら、筆者は白旗を揚げる。 このように、サウンドバーも実力を高めてきていることがよくわかったし、各社が映画用だけでない家庭用の多目的に使えるスピーカーとして製品を作っていることもわかった。今後はますます個性の違いが出てくると思うし、使用するユーザーも自分の使い方に合った製品を選ぶようになるだろう。昔はちょっと5.1chをやっていたけど、さすがに今の7.1.2chとかにはついていけない。そんなふうにサラウンドをやめてしまった人は、ちょっと最近のサウンドバーを試してみませんか。
AV Watch,鳥居一豊