【カスタム車紹介】テクニカルガレージRUN GSX1100S(スズキ GSX1100S)コンプリートをアクシデントから再生&イメージ変更する
リセット&補完状態を起点にしてさらにスープアップ
テクニカルガレージRUNによる空冷カタナ。元々同店のヴァージョンアップコンプリートとして作られ、5~6年ほど楽しんでいた。それがアクシデントに遭ったため、修復を兼ねてイメージも新たにしたものだ。大きく変わったのはシルバーからブラックへの車体色。ベースとなる外装パーツも多くがカーボン製となり、同時に燃料タンクも純正からアルミ製に換わり、ウインカーも小型化された。 【写真はこちら】テクニカルガレージRUNがカスタムした「GSX1100S」の全体・各部 主に外装まわりの変更でこの仕立てになったわけだが、それはこの車両が元々コンプリートとしてベースをリセットし、十分な手が入っていた=消耗品の新品化や組み立て時のトルク管理など=からこそ、この変更で済んだとも言える。何をしたか、どんな手を入れたかも、コンプリート化=良好な状態にする際に分かっている。良好な状態そのものが把握されているから、そこに戻すのは難しくなかったと言っていいだろう。何かの変更やプラスをするとしても、リセットされた状態から始めればいい、つまりコンプリートを基本に考えればいい。 空冷カタナについては、開発が既に40年以上前ということを理解する。ファイナルエディションの販売からも25年は経っているから、旧車として捉えて、現代への補完を行う。まずフロントブレーキ。マスターシリンダーにキャリパーとブレーキパッド、対になるディスク。いわばシステム丸ごと、現代の信頼できるものに換えて制動力を確保する。コントロール性も同様に上げる。 その制動力を生かすには、前後サスペンションのグレードアップが不可欠だ。リヤショックの交換。フロントフォークも理想を言うなら交換となるだが、オーナーの好みや使い方によってはこの車両のように内部チューニング(内部スプリング変更&リセッティング)で対応する。その上で、変更された足まわりの性能を引き出せる、現代の信頼できるタイヤを履かせる。 これらの項目は毎回のごとく杉本さんが挙げてくれる(カタナをベースにしたヴァージョンアップコンプリート“フルメタル・ハガネ”製作時点[2012年]でもそうだったから、もう10年以上)が、それはこれらが本当に今カタナに乗るために不可欠だからだ。そこは間違いない。もう少し踏み込むなら、フレームの見直しと再塗装もしたいし電装も作り直し、エンジンもオーバーホールと外観塗装を、早いうちに行いたい。キャブレターもオーバーホール、インシュレーターなどのゴム系パーツの交換も同様。維持のための純正パーツも廃番や高騰が進んでいるので、必要なものは早めに確保しておく。それが行われていれば、この車両のように、以後長く乗ることができるわけだ。意外な形としてだったが、それも証明された。 このカタナは最初のコンプリート製作時に車両探しの相談から行い、それをきっかけにショップ/車両との付き合いを深めてきた。今後カタナに乗るには、そんな配慮やショップとの付き合いは欠かせないということなのだ。
ヘリテイジ&レジェンズ編集部