能登で支援活動をおこなった廣瀬俊朗さん。「スポーツ×社会課題解決」のススメ
スポーツ×社会課題解決は、スポーツの可能性・役割を広げるチャレンジだ。 今回の能登支援活動に参加した柔道家・井上康⽣さんも、スポーツの可能性を探る一人だ。 5月27日には「スポーツ×社会課題解決」をテーマにした対談イベント(主催:慶應義塾⼤学⼤学院メディアデザイン研究科 ネットワークメディアプロジェクト)に登場し、スポーツを通じた災害⽀援、解決⼿段としてのスポーツの可能性などについて展望を語っていた。 なぜ廣瀬さんらは、社会課題の解決を目指すのだろうか。 廣瀬さんは2011年の体験が大きいという。現役時代の2011年、東芝の仲間と東日本大震災で被災した釜石で、瓦礫処理ボランティアなどをおこなった。そのとき「生かされている」と強く感じたという。 「仲間と震災ボランティアで釜石に行った時に『人って生かされているんだな』と思ったんです。この生かされている人生を、自分のためだけに使うのか、と考えたことはキッカケのひとつです」 社会課題解決の意識は、自身の可能性も広げる。 社会に対するアクションを現役中から続け、社会との接点を持ちつづけた廣瀬さんは2020年、日本テレビの報道番組「news zero」の木曜パートナーに抜擢された。 通常は専門競技以外の見解を求められない元選手が、2020年10月から約3年半、報道番組でスポーツに限らず政治、金融、戦争など多岐にわたりコメント、発信をした。 華々しくも意義深い、充実したセカンドキャリアを築き、何より常に活力に溢れる廣瀬さんに、現役選手への「スポーツ×社会課題解決」のススメを訊ねた。 「いまプレーできているのは、自分の努力だけじゃないと思います。『自分のため』も大事ですが、一人のアスリートとして、社会との接点を持って、社会のための活動を何かしら、ひとつでもやってみたらどうかなと思います。そうすることで違う視点を得られたり、自分自身のパフォーマンスにも返ってくると思います」 「選手はいつか現役を引退する時が来るので、違う世界をすこしでも知ってアクションしていくことが、アスリートとしてのキャリアをいったん終えた時の手助け、サポートにもなると思います。その視点からみても、ちょっとずつでも何か動いていた方が、楽しく生きられるんじゃないかなという気がします」 (文:多羅正崇)