「落語家で僧侶」「クリスチャンとの結婚」多様性と向き合ってきた女性落語家
クリスチャンの男性と結婚
――天台宗の僧侶である団姫さんですが、旦那さんはクリスチャンだそうですね。 露の団姫さん: お互い芸人として出会い、付き合い始めたんですけど、交際していくうちに彼がクリスチャンだと教えてくれました。それを聞いたとき、ちょっとだけショックだったんです。私の思い描いていた夢が、結婚したら夫とともに毎日お仏壇の前で一緒にお勤めをするっていうこと。だからそれができなくなるという落胆ですね(笑)。 ――お互い気をつけていることはありますか? 露の団姫さん: お互いの信仰生活をしやすいようにしているというか、たとえば日曜日に夫はキリスト教会に行くので、そのときは私が家事育児を頑張ってやろうと。夫にとっては安息の日ですから。夫は夫で、お寺のお手伝いもいろいろとしてくれます。 「ローマ法王様がこういうメッセージを出されたらしいで」「すごいなあ」とか、普段からそういう話をしています。 ――結婚する際に同じ宗教にするという選択はしなかったんですね。 露の団姫さん: もし同じ法華経を信仰してる人と結婚していたら、その法華経が自分にとっても相手にとっても一緒だと思ってるからこそ、解釈が違うとか、相手を否定する原因になってたと思うんですね。でも最初から宗教が違ったら「この人はこの人だし、みんな違う人間やから」っていうふうに考えることができた。無理やり一緒にしなくてもいいっていうことで、宗教が違うことが逆に夫婦円満の秘訣になってるかなと思っています。 お経の中では、自分自身の信仰心がちゃんと一本、筋が通っていたら、ほかのどんな哲学を持っている人、どんな宗教を持っている人と交流しようとも、それも自分自身の仏道修行になりますよ、ということは書いてあります。私も、クリスチャンである夫と生活するうえで僧侶として学びになることもたくさんあるので、これはけっしていけないことではないと思っていますね。 天台宗は毎年「比叡山宗教サミット・世界平和祈りの集い」ということをやってるんです。世界中からキリスト教、イスラム教、神道、仏教各派、いろんな人が集まって、みんなでそれぞれの形で、お互いの信仰を認め合って、平和を祈ります。夫と結婚して初めてそのサミットに参加して一緒に祈ったときに、これが究極の形だなと思って、だから毎日が宗教サミットっていう感じですね。