Xとの蜜月の終わり 「偽情報」拡散で報道機関が離脱
Xではしばしば「不穏なコンテンツ」が助長・発見されていると指摘し、具体例として「極右陰謀論や人種差別」を挙げた。
メディアとXのこうした対立は、2008~2009年にツイッターによって引き起こされた熱狂とは著しく対照的だ。
メディアは当時、専門家や政策決定者はもちろん、読者・視聴者との直接的な接触を確立するためにツイッターで発信する必要性を確信。
その結果、メディアは「読者・視聴者の増加、ブランド構築、新たな報道手法の開発、コミュニティー形成、市民参加の強化」を認識したとバーナード氏は指摘する。
同時に、ツイッターの影響力もメディアによって高められた。
■読者の減少は限定的?
既に斜陽化している新聞各紙のX離脱がもたらす具体的な影響はまだ分からないが、各紙は既に読者数の減少を見越している。
ラ・バングアルディア紙のジョルディ・フアン編集長はAFPに対し、「Xでニュース記事を見て購読を申し込む読者もいるので、定期購読者の数はおそらく減るだろう」と主張。
一方で、「Xは他のプラットフォームと比べてニュースサイトへのトラフィックが少ない」ため、そうした読者の減少は限定的だろうと話した。
米公共ラジオNPRがツイッターを離脱した半年後の2023年10月、ニーマン・ジャーナリズム財団は報告書で、離脱によるトラフィックへの影響は「無視できる」レベルだと指摘した。
X離れの恩恵を受けているプラットフォームの一つはおそらく、Xと同じ機能を多く提供している分散型SNS「ブルースカイ」だろう。
ブルースカイは15日、24時間でユーザーが100万人増加したと発表した。だが、ユーザー数は1600万人で、推定数億人とされるXに比べると依然として小規模だ。
国境なき記者団(RSF)技術部門の責任者を務めるバンサン・ベルティエ氏は、「厳密に言えば、Xが現在提供しているものに代わるものはない」「だが、それらをつくり出す必要があるかもしれない」との考えを示した。