年金の支給開始年齢が70歳に引き上げされる前兆になりそうな法改正
現在の日本に存在している公的年金制度と、それぞれの主な加入者は次のようになるのです。 ◆国民年金 日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、農林漁業者、20歳以上の大学生、失業中の方などは、第1号被保険者として国民年金に加入します。 また厚生年金保険の加入者に扶養されている、年収130万円未満などの所定の要件を満たす配偶者も、20歳以上60歳未満の間は第3号被保険者として国民年金に加入します。 ◆厚生年金保険 所定の加入要件を満たす会社員や公務員(パートなどの非正規雇用者も含む)は、厚生年金保険に加入します。 今のところ加入する上限は70歳ですが、下限は特に定められていないため、例えば高校を卒業した直後に正社員として就職した場合、20歳未満でも厚生年金保険に加入するのです。 また厚生年金保険の加入者は一部の方を除き、第2号被保険者として国民年金にも加入しますが、第1号被保険者と違って各自が保険料を納付する必要はありません。 その理由としては企業などが給与から控除して、日本年金機構に納付した厚生年金保険の保険料の一部は、第2号被保険者と第3号被保険者の国民年金の保険料に変わるからです。
老齢厚生年金の支給開始年齢は段階的に引き上げされている
国民年金から支給される老齢基礎年金を65歳から受給するには、公的年金の保険料を納付した期間などが、原則10年以上必要になります。 また20歳から60歳までの40年に渡って、国民年金の保険料を納付すると、老齢基礎年金は満額になるのです。 逆に言えば40年の間に免除期間や未納期間などがあると、その分だけ老齢基礎年金が減ってしまうため、原則10年の受給資格期間を満たした後も、保険料の納付を続けた方が良いのです。 老齢基礎年金の受給資格期間を満たした方のうち、厚生年金保険の加入期間が1か月以上ある方には、厚生年金保険から老齢厚生年金が65歳から支給されます。 この老齢厚生年金の支給開始は、もともとは60歳からであり、何年もの歳月をかけて段階的に、60歳から65歳に引き上げしているのです。 そのため厚生年金保険の加入期間が1年以上ある方には、特別支給の老齢厚生年金という経過措置の老齢厚生年金が、60~64歳から支給されます。 また現在は引き上げが進んでいるので、今後に特別支給の老齢厚生年金が支給される方の生年月日と、その支給開始年齢は次のようになります。 【男性、各種の共済(公務員などが加入していた年金制度)の加入期間がある女性】 1959年4月2日~1961年4月1日:64歳 1961年4月2日以降:支給なし(65歳への引き上げが完了) 【女性】 1960年4月2日~1962年4月1日:62歳 1962年4月2日~1964年4月1日:63歳 1964年4月2日~1966年4月1日:64歳 1966年4月2日以降:支給なし(65歳への引き上げが完了) このように女性の引き上げは5年遅れで進んでいるため、男性よりも長期間に渡って、特別支給の老齢厚生年金を受給できる可能性があるのです。