38年前の1986年、福井市内で起きた女子中学生殺人事件で、最高裁で確定した有罪判決は冤罪だとして、弁護団が裁判のやり直しを求めた二度目の再審請求で、名古屋高裁金沢支部は23日、裁判のやり直しを認める決定を下しました。 　　　　　　　 この事件は、1986年3月に福井市内の市営住宅で、当時中学3年生の女子生徒が顔や首など数十カ所を包丁で刺されて殺害されたものです。 　　 事件から約1年後、物的証拠が乏しい中、福井市の前川彰司さん（当時21歳）が逮捕され一審で無罪となりましたが、二審で受けた逆転有罪判決が最高裁で確定し7年間服役しました。 　　 前川さんは、逮捕段階から一貫して無罪を主張し、出所後の2004年に再審を請求し一度は認められたものの、検察側の異議申し立てにより取り消されました。 　　 弁護団は、2022年に二度目の再審請求を行いました。新証拠として提示されたのは、関係者の供述は合理性が欠けるとする供述心理鑑定書や、供述との矛盾を示す血液反応に関する鑑定結果など合わせて133点です。 　　 名古屋高裁金沢支部は23日、「新証拠は『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』と言える」として、裁判のやり直しを認める決定を下しました。 　 再審開始決定を受けて前川さんは「ありがとうございました。戦いはまだ続きますので、これからも見守ってください。きょうが一つの区切りになります」と話しました。