札幌・円山公園に雪のバンクシー? 木々に動物、作者は近所のデザイナー
札幌市民や観光客に人気の円山公園(札幌市中央区)に、大人ほどの長い手脚の雪だるまや雪でできた動物たちが突如現れ、見る人を楽しませている。誰がどんな意図で作ったのか想像させ「札幌のバンクシー」と話題に。作者は近所に住むデザイナー田中宏美(たなか・ひろみ)さん(48)で「気分転換に作っているけど、ほっこりしてもらえるとうれしい」と話す。(共同通信=篠崎真希) ベンチには遠目では人と見間違うような手脚のある雪だるまが帽子とマフラー姿で座り、周囲の木にはナマケモノやエゾリス、季節外れのクワガタが潜む。田中さんは「見た人が雪で友達を作ったり、解けたら直してくれたり。交流が生まれたのは驚きだった」と目を輝かせる。 雪の作品に取り組み始めたのは2019年。CDジャケットのデザインや車のラッピング広告を手がける仕事の合間に、円山公園とは別の小さな公園で雪だるまの男の子が遊んでいるストーリーを想像して形にした。それから毎年12月~翌年4月に小さい動物も含め30体ほどを制作している。
作品に使うスコップやバケツは自宅からソリで運ぶ。裏地付きのゴム手袋をはめて雪を押し固めながら、動物は写真を参考に、細かい部分を粘土用のへらで削っていく。木の実や松ぼっくりで顔のパーツをくっつけ、50センチほどのリスなら約10分、大きいものは2~3時間かけて完成させる。 昨年は公園内の円山動物園の依頼でユキヒョウやカバ、ヒグマなどを本物の動物の近くに再現した。今年も2月に展示したほか、周辺の商業施設からも声がかかる。田中さんは「円山一帯を雪のアートを楽しむ地域として親しみを持ってもらえたら」と語った。 制作意欲は冬だけにとどまらず、春は桜の花びら、夏は刈られた草、秋には落ち葉など公園にあるもので地面に模様や表情豊かな動物を描く。作品は田中さんのインスタグラム(@tana163)で見られる。