繰越額を虚偽記入か 河井元法相の自民支部2018年収支報告書 「800万円のズレ」職員供述
2019年参院選広島選挙区での公選法違反事件を捜査していた広島地検の聴取に対し、河井克行元法相が支部長だった自民党広島県第3選挙区支部の職員が、18年の政治資金収支報告書に記載した繰越額と預金口座の残高に「800万円のズレがあった」と供述していたことが13日、刑事裁判の確定記録で分かった。政治資金規正法違反(虚偽記入)に当たる可能性があるが、5年の公訴時効が成立している。 【画像】自民党広島県第3選挙区支部の虚偽記入疑惑 中国新聞は刑事確定訴訟記録法に基づき、同事件で有罪が確定した元法相の秘書ら2人の裁判記録の開示を請求。広島地検が元秘書や同支部職員の供述調書を開示した。 同支部の18年の収支報告書には、1121万9300円を19年に繰り越したと記載されている。しかし開示された供述調書によると、この報告書を作った当時の職員は検事の任意聴取で繰越額について「支部の預金口座に実際にある残高とのズレが800万円くらいに上っていた」と供述。実際の繰越額が報告書の記載額とは違う可能性を示唆していた。
「汚いことも結構ある」告げられる
この職員は19年4月に採用された。前任者からの引き継ぎの際には、収支報告書に記載された繰越残高が預金口座の残高と一致しないと告げられ、「秘密を守れますか」「政治家の事務所だから汚いことも結構あるんだけど大丈夫?」と言われていたという。 国会議員が関係する政治団体の収支報告書は、弁護士や税理士の監査を受けた上で提出する。元法相の党支部の収支報告書にも税理士の監査報告書が添付されているが、問題点の指摘はなく、19年5月末に広島県選管へ提出された。 この経緯に関し、党支部の職員は検事の聴取に「税理士から『このズレは以前からこうなっているところだから、あなたが責任を感じなくても良いよ』と言われた」と供述していた。18年より前の収支報告書には、この問題について元法相が弁護士と協議したメモがとじてあったという。 検事の聴取は20年3月1日にあり、供述調書が作成された。党支部は21年5月に解散している。 中国新聞は取材を申し入れたが、元法相と、監査をした税理士は応じなかった。
中国新聞社