ルノーが「レトロな次世代EV」発売間近 右ハンドル車を英国で発見 約400万円から
低価格路線の小型EV
フランスのルノーは現在、新型EV「5 Eテック・エレクトリック」の右ハンドル車の市場投入に向けて、英国でテスト走行を行っている。英国では今後数か月以内に発売される見込みだ。 【写真】親しみやすいレトロ調デザインのフランス製EV【ルノー5 Eテック・エレクトリックを写真で見る】 (17枚) 新型5 Eテック・エレクトリックは、レトロなデザインを特徴とするハッチバックで、ミニ・クーパーEやフィアット500eなどのライバルとなる。 今年初めのジュネーブ・モーターショーで量産仕様が発表され、欧州での発売価格は2万5000ユーロ(約400万円)からと、EVとしては最も安価な部類に入る。
「走り」を重視した設計
5 Eテック・エレクトリックは、「アンペア・スモール」(旧称:CMF-BEV)と呼ばれる新しいプラットフォームをベースとしており、そのコア構造の大部分は日産ジュークやルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)と共通している。 既存のプラットフォームの基本構造を利用することで、開発コストを30%削減できたと言われている。 また、ルノーはドライバビリティを優先し、リアにマルチリンク式サスペンションを採用した。 車両性能担当副社長のジャン・セバスチャン・ブラジー氏は以前、AUTOCARの取材に対し、「優れた敏捷性とステアリング・レスポンスを実現し、子供の飛び出しやハプニングを避けるような極端な運転操作でもクルマの安定性を確保するための秘策です」と語っていた。 ブラジー氏はさらに、「車両力学の観点ではメガーヌ(Eテック・エレクトリック)と完全に匹敵するでしょう」と付け加えた。しかし、メガーヌEテック・エレクトリックよりもステアリングの過敏さを抑え、ギア比を12:1から13:7に緩和したという。
航続距離は最長400km
全長3.92m、全幅1.8mというコンパクトなボディサイズに合わせて、電気モーターやバッテリーも小型・軽量設計となっている。 例えばモーターには、従来よりも15kg軽く、3cm短い新型のインバーターが採用された。また、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーは、各セルを四角形のモジュールにまとめるという簡素なレイアウトを採用。容量40kWhでは総重量240kg、52kWhでは300kgとなる。 その結果、40kWhバッテリーを搭載するエントリーグレードの車両重量はわずか1372kgに抑えられた。ルノー初の量産EVであるゾエは、約半分の容量(22kWh)でありながら、車重は100kg近く重い1468kgだった。 52kWhモデルの車重は1449kgで、ライバルのプジョーe-208と同等だ。 こうした軽量化の結果、走行性能も大きく改善されたようだ。あるエンジニアによると、テストコースでは、ベンチマークとしたプジョーe-208よりもコーナリングスピードが約20km/h速かったという。 モーターの最高出力は95ps(70kW)、122ps(90kW)、150ps(110kW)の3種類が用意される。中間グレードの122ps仕様は0-100km/h加速8.0秒以下とされている。 航続距離は40kWhバッテリー搭載車で最長300km、52kWhモデルで最長400kmとされる。バッテリーの充電速度は40kWhで最大80kW、52kWhで最大100kW。また、最大11kWの外部給電機能も備えており、蓄えた電力を売電することもできる。