「LOVEファッション―私を着がえるとき」(京都国立近代美術館)レポート。装いへの尽きない偏愛、時代と私的な物語の共鳴(文:Naomi)
熊本市現代美術館と東京オペラシティアートギャラリーで巡回展
コレクション展を行う上階へ続く展示は、カラフルなチュール素材が身体を覆う「Yoshio Kubo(ヨシオクボ/久保嘉男)」のルックや、ふわふわとしたポリエステル・オーガンジーでできた「Tomo Koizumi(トモ・コイズミ/小泉智貴)」のドレスなどと、原田裕規のヴィデオインスタレーションによって幕を閉じる。 なお本展は2024年末から25年春にかけ、熊本市現代美術館と東京オペラシティ アートギャラリーへの巡回が予定されているが、「Tomo Koizumi」と「Worth(ウォルト/ジャン = フィリップ・ウォルト)」のドレスは、京都会場のみの展示だ。 パンデミックを経て、再びオフラインの日常が戻って久しい。日本の夏はいっそう過酷になり、四季もはっきりしなくなりつつある。日々、何を着たらいいのか頭を悩ませ、振り回されるような気分にもなる。 それでも、本展を巡って再認識するのは、どんな時もどこにいても、ファッションが私たちの日常を彩り、楽しさやときめきを、奥底に秘めた欲望や執着を、体現してくれる存在ということだ。 ファッションというフィルターを通して現れた様々な「LOVE」とともに、これからの私たちは装うことから何を考え、どうありたいと望み、生きていくのだろうか。
Naomi