「負けたら終わりの“トーナメント戦”で本当にいいの?」高校野球の“常識”と“当たり前”を覆す驚きの挑戦
「野球界にも新たな価値観が必要だと取り組み、慶応の優勝もあってそうした発信が増えています。『なければつくればいい』という発想はビジネスの世界では当たり前でしょうが、日本のスポーツ界ではそうでないところもあります。『高校野球は3年夏で負けたら引退』という固定観念がありますが、本当にそれでいいのか。固定観念の打破は今の日本社会に求められていると思うので、野球界から発信していきたい」 ■世界の「個々を伸ばす仕組み」は?
世界に目を向けると、「個々を伸ばす仕組み」がさまざまにある。 アメリカの大学ではサマーリーグという機会があり、夏休みに学生が費用を自己負担して参加する。自身の成長につながることに加え、奨学金の獲得やプロ球団にアピールする機会にもなるからだ。 ドミニカ共和国のサマーリーグでは、10代後半のプロ選手たちが3カ月間に72試合のリーグ戦を行う。実戦経験を重ね、8軍に当たる彼らはメジャーリーグへの昇格を目指していく。
翻って日本は「負けたら終わり」のトーナメント戦のため、実戦で成長する機会が得にくい。 勝たなければ次がないからチーム優先となり、個人が犠牲になることも求められるが、もっと自分をアピールする機会があってもいいのではないか。 阪長はそんな願いを込め、個人参加型の「リーガ・サマーキャンプ」を構想した。一般社団法人「Japan Baseball Innovation」を設立し、個人や企業から寄付を募って大会運営費に充てようとしている。
約25万円という参加料は決して安くないが、それだけの投資に見合う価値をつくり出せるか。 一定以上の競技レベル、大学側の視察、ネットワークの構築などが求められる一方、元プロの荻野忠寛(元ロッテ)と大引啓次(元オリックスなど)を招いて選手たちが自由に話を聞ける環境を整える予定だ。 ■好評だったコロナ禍の“例外的”な合同練習会 海外ではプロ球団や大学にアピールする「ショーケース」の機会は当たり前にあるが、日本でも4年前に“例外的”に行われたことがある。