ポイントは「5G」、ドコモが「コミケ」でエリア対策
12月29日~12月30日にかけて、東京都で開催される「コミックマーケット 105」。多くの来場者が見込まれるなか、人混みでも快適にスマートフォンを使えるよう、通信各社が対策する。NTTドコモのポイントは「5G」という。 【この記事に関する別の画像を見る】 ■ 会場を5G SA化 今回のコミックマーケットでは「MMU」(Massive MIMO Unit)を使う対策を関東地方で初めて導入する。端末ごとにエリアを最適化するビームフォーミングや個々の端末に対して専用の周波数リソースを設けることができ、会場に設置される移動基地局車や可搬型基地局に搭載して運用する。 また、会場全体で5G SAを利用できるようにした。4Gの設備が不要なため、4GやNSA方式の5Gの利用で通信が混雑しても、通信が不安定にならないメリットがある。ドコモが測定した結果では、混雑する場所でのSAはNSAに比べて1.1~1.4倍のスループット向上を確認したという。会場でのスマートフォンの利用は多くがコミュニケーションのためとみられる。SNSへ投稿など、安定した通信を求めるユーザーにはメリットが大きそうだ。 待機列に向ける臨時基地局は3Gの帯域を4Gに転用することで、4Gのキャパシティを強化し、2GHz帯を20MHz幅、800MHz帯を15MHz幅とする。展示棟の屋内基地局も800MHz帯を15MHz幅、屋外では2GHz帯を20MHz幅として4Gを強化する。常設の基地局は一部で3Gを残すが、移動基地局車などは全4G化してイベントに臨む。 会場東側の待機列に向けては、移動基地局車と可搬型基地局を配置し、セルをなるべく等間隔にすることで、通信速度のムラの発生を防ぐ。会場西側にも待機列が発生するため、西側に向けるアンテナを高さをコミックマーケットの会期中のみ上げたり、向きも調整したりといった対策をとっている。 ■ 5Gオンのほうが快適 2023年の夏に開催されたコミックマーケットでは、対応が間に合わず通信環境に不満を抱く声が聞かれた。前回の2024年夏のコミックマーケットでは、その反省を踏まえて対策した結果、ドコモの通信を評価する声を聞けたとNTTドコモ 首都圏支社 ネットワーク部 移動無線計画担当の加藤明雄担当課長は話す。 一方、一部ではまだ「つながりにくい」という声も聞かれたという。同社ではこれを4G通信利用時の事象ととらえており、5Gの積極的な利用を呼びかける。実際、端末の設定で5Gをオンにしたところ、通信が安定したという声もある。バッテリーの節約術的な側面で5Gをオフにすることが紹介されているケースもあるが、混雑する場所では有効にしたほうが快適に利用できる場面もあるようだ。 NTTドコモ 首都圏支社 ネットワーク部 移動無線計画担当の古橋彬主査によると、イベント当日にもドコモスタッフがつながりにくい場所を足で探して対策するという。今回の秘策である5G SAの利用には、対応端末の用意やオプション加入が必要になる。しかし、SNSへの写真・動画の投稿やライブ配信など、通信の安定を求めるなら導入する価値がありそうだ。 当日はモバイル通信に加えてWi-Fiも増強される。ドコモのイベント時におけるエリア対策の予定や内容などは同社Webサイトでも公開されている。
ケータイ Watch,北川 研斗