たたき上げ24歳の平戸海、速攻で大の里との同年代対決制す 大相撲夏場所9日目
○平戸海(押し出し)●大の里(夏場所9日目=20日) 優勝争いの先頭を走る大の里を、わずか3秒余りで土俵の外に押し出した。平戸海は立ち合いで低く踏み込み、左前まわしを引く。窮屈な体勢になった相手が思わず引いたところを一気に走って勝負を決めた。「引いてきたところに付いていこうと思った。自信は出ます」。まさに狙い通り。会心の速攻相撲だった。 師匠の境川親方(元小結両国)から「絶対に(相手得意の)右を差されないようにしろ」と言われていたという。それを実行できたのは普段から意識して出足を磨いてきたからだ。身長178センチ、体重138キロと決して大きくない平戸海は春巡業の稽古でも速く強く立ち、足を送っていくことに取り組んでいた。 大の里とは平成12年生まれの同学年。2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げて幕下10枚目格付け出しでデビューした大の里に対し、平戸海は中学卒業後に角界入り。序ノ口から8年かけて自己最高位の東前頭2枚目まで番付を上げてきた。たたき上げの24歳は「入った順はそんなに気にしないけど、同年代には負けられない」と表情を変えず、小さな声で言った。これから2人が良いライバル関係になっていけば面白い。(宝田将志)