不妊治療の現場から。自然妊娠をサポートする「FT(卵管鏡下卵管形成術)」って?医師が回答
造精(ぞうせい)機能障害
精子をつくる機能に問題がある状態。高熱などが影響することもある
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)
精巣からの静脈の血液が滞り、こぶのようにふくらみ、精子がつくられにくい状態に
乏精子症(ぼうせいししょう)
精子濃度が1ml中1600万を下回る状態のこと
【Q】女性の治療法の一つであるFT(卵管鏡下卵管形成術)とは?
【A】狭くなったり、詰まっている卵管の通りをよくして自然妊娠をサポートするカテーテル手術です 【採卵室】採卵は胚培養士が卵胞や卵子の個数などを説明しながら行うので、状況を把握しやすい 【診察室】男女それぞれ専門の医師が診察。ときには胚培養士を交えて、じっくりていねいな説明が受けられる 【リカバリー室】落ち着いたベッドの部屋が3室、リクライニングチェアの部屋は全8室 ■竹内先生「卵管が狭い、詰まっているなどの異常があると、高い割合で妊娠しにくいことがわかっています。FT※は卵管の通りよくする手術のことで、所要時間は30分程度。術後は自然妊娠を望むことができます。レントゲンによる「子宮卵管造影検査」を受けてみてください」 ※卵管が狭い、詰まっているなどの可能性がある場合に効果的な保険適用の手術。できる施設は限られています。
【Q】クリニックの入口に扉がないことに驚きました!
【A】開かれたクリニックであること、また、患者さんとのコミュニケーションが取りやすい環境づくりに徹しています ■竹内先生「今や不妊治療は人に隠して通院する時代ではありません。もっとオープンにしたいと扉はあえてつけませんでした。また、検査結果や治療の状況などを常に把握してもらえるよう、医師はもちろん、胚培養士を交えてのコミュニケーションを大切にしています」
【編集長check!】妊娠成功への鍵を握る胚培養士たちの努力に脱帽!
【培養室】採卵した卵子と精子を受精・培養させる広々とした培養室。17名のスタッフが、培養機器や受精卵のデータ管理を徹底して行っている 院長によると、培養室のスタッフは日本の学会だけでなく、海外の医療学会にも積極的に参加して、研究結果を発表しているそう。 日々進化する不妊治療の知識や技術を常にアップデートしているなんて心強いかぎり。 そんな不妊治療へのあくなき探究心に頭が下がる思いです。 ●竹内巧 先生 ●撮影/合田和弘 ●イラスト/丹下京子 ●構成・文/飯田由美(BEAM) ※本誌掲載の内容は2024年8月19日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。 監修 竹内巧 先生 PROFILE:リプロダクションクリニック東京院長・生殖医療専門医。世界の不妊治療をリードするコーネル大学産婦人科生殖医療センターに11年勤務するなど、30年以上、生殖医療に携わっている。
たまひよ ONLINE編集部