Bad Omensが語るセンシティブ・メタルコアの進化、Bring Me The Horizonへの共感と日本への想い
ブリング・ミー・ザ・ホライズンへの共感と日本への想い
―あなた自身の発想な根源はどんなところにあるんでしょうか? 映画やアニメ、コミック、小説などなんでも構いませんが、このバンドに影響をもたらしていると思われるものがあればいくつか具体的に教えてください。 ノア:今、君が言ったようなものはすべてそうだし、他にもいろいろある。意味のあるアートというのは、おそらく自分がこれまで消費してきたり経験してきたりしたあらゆるものから影響を受けているんじゃないかな。唯一の違いは、その人それぞれのアクセスする力、そしてそれらの物事をユニークでパワフルな形で表現する能力なんだ。それらに対する自分なりの解釈を作品として完結させる力。影響というのは本当にたくさんの形で訪れるものだけど、そのことをあまり明白に考えるのをやめるといよいよ楽しくなる。たとえば俺は、『MR. ROBOT / ミスター・ロボット』というドラマが大好きなんだ。「Artificial Suicide」という曲の中でリスナーのことをfriendと呼ぶというアイディアはそこから来ている。それから長年の間にfriendがコミックに出てくる仮面を被った人間や俺たちのライブのビジュアルになっていった。もうひとつ挙げると、あのキャラクターは、『Vフォー・ヴェンデッタ』に出てくるVからも部分的にインスピレーションを得ているんだ。歌詞的には「Artificial Suicide」は俺にとって単なる社会的な論評であって、ソーシャルメディアやメディア操作、それから昨今、人々にネガティブな影響を与えている同種のコンセプトに対する俺の意見でもあるんだけど、これらの作品の影響のおかげで、ただの曲をはるかに超えるものになったと思っている。 ―『THE DEATH OF PEACE OF MIND』がこのバンドの進化を体現したものだとすれば、『CONCRETE JUNGLE [THE OST]』はそのさらなる発展形といえるはずです。この作品から感じ取ることのできる未来志向の変化は、この次のオリジナル・アルバムでの変化の予兆ともいえるものなのでしょうか? 実際、この先に自分たちのどのような音楽的変化を見据えていますか? ノア:あまり種明かしはしたくないし、正直なところ、それについては自分でも完全な答えがまだないんだ。新作はまだ完成していないからね。ただ、『CONCRETE JUNGLE [THE OST]』がプロデューサーとしての自分にとって、いい練習になったとはいえる。あのアルバムを作っている間に学んだこと、生まれたものがたくさんあるんだ。音楽を作るうえでプロセスに刺激を与える手助けになってくれた。 ―あなた方の音楽の進化の過程を見ていると、かつてブリング・ミー・ザ・ホライズンが経てきた音楽的変遷を思い起こさせられる部分があります。過去には彼らとのツアー経験もあるあなた方ですが、彼らについてはどう見ていますか? ノア:実際のサウンドより、アプローチ面で比較されるようになったことについては嬉しく思っているよ。音楽的に進化して新しいもの、少なくともメタルコア・バンドとして新しいものにトライし続けるという努力を同時進行でやってきたところはお互いに共通する点だと思う。キャリアの初期によく彼らと比べられていたのは周知の事実だし、俺たちが音的に似ていたことがあったのも否定しない。俺たちはいつだって、彼らをスペシャルなことをやるバンドとして見てきたし、アーティストとしてまだ自分のアイデンティティや自信が確立できていない段階で、他の誰かからインスパイアされ過ぎてしまわないようにするのも難しいからね。ただ、今では自分たちなりのものを確立できているし、似ている面があるとすれば実際の作品そのものよりも、ものの考え方の方ということになるんじゃないかな。とはいえ、彼らの思考のあり方を完全に把握できているわけじゃないけど(笑)。アーティストにとって、表面的な部分ではなく、より深いところで本当の意味でインスピレーションを受けるということがどんなことかを学ぶことは、ものすごく大きなターニングポイントに繋がるものなんだ。 ―ええ、とても納得できます。ところであなた方は2018年に来日し、その際にはライブハウスでプレイしています。その際のことで特に印象に残っているのはどんなことでしょうか? ノア:カルチャーを吸収しまくっていたよ。なにしろ俺たちがそれ以前に経験していたどんなものとも違っていたからね。建築、食べ物、ライフスタイル、自然……何もかもがとにかく素敵だった。今度そっちに行った際にはもっと時間をかけて、ちゃんと日本文化を体験することを楽しみにしているんだ。すごく具体的なことを言うと、奈良公園がとてもクールだった。自然や生き物たちと心地よく絡み合った気分だった。仙台市を散策したのもとてもクールだった。大阪城についてもそう。表面をなぞるのがやっとの旅だったから、正直な話、パフォーマンスよりも散策だけしにまた行きたい気持ちが強いくらいなんだ(笑)。 ―それからすでに6年が経過していて、日本のファンは大きな会場での再会を心待ちにしています。その機会が近いうちに訪れるのを期待していて良さそうでしょうか? ノア:そうなったらいいね。多分、次のアルバムが完成して、また新たなツアーが始まってからの話ということになるだろう。前回プレイしてからあまりに時間が経ってしまったからね。あの時は100人ぐらいしかお客さんがいなかったけど、今の俺たちが日本でやったらどうなるのかにも興味があるよ。だから、どうか待っていてくれ。早くまたそっちに行きたくてたまらないんだ。 --- バッド・オーメンズ 『THE DEATH OF PEACE OF MIND+CONCRETE JUNGLE [THE OST]』 発売中 日本独自企画盤/2枚組SHM-CD/デジパック仕様
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