日本株絶好調! 新NISA「成長投資枠」の成功《株》の見極めに…「商品指標」で企業コストを知る!
個別株で成功するためにチェックしたい「指数」
ココア豆を例にとったが、川上情報をキャッチする重要性は他の商品も同じだ。 ◆1_「銅の医者」とは 「ドクター・カッパー」と異名を持つ銅は、景気の先行きを診断する存在と言われる。銅が、機械、建設、輸送など、景気と深くかかわる基幹分野で幅広く用いられ、銅の需要動向が景気の先行きを指し示す。銅価格の国際指標であるLME(ロンドン金属取引所)の3ヵ月先物価格は、過去にも世界経済の変化に敏感に反応した。’08年のリーマン・ショック、’20年の新型コロナウイルス感染拡大時など、世界規模の経済ショックの際には、銅の価格が経済指標に先んじて急落している。 ◆2_「CRB指数」はインフレの先行指数 エネルギーや金属、穀物といったコモディティー(商品)の総合的な値動きを指数化したものが「商品総合指数」。海外指数の代表的なものに、【CRB】指数がある。CRB指数は、インフレ指数とも言われ、欧米の商品取引所の先物取引価格から算出される国際商品先物指数で、19品目で構成されている(原油、無鉛ガソリン、暖房油、天然ガス、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、トウモロコシ、大豆、小麦、綿、生牛、豚赤身肉、コーヒー、ココア、オレンジジュース、砂糖)。 様々な製品の原材料になる商品の値動きゆえ、物価だけでなく景気動向を測る材料として、【FRB】(米連邦準備制度理事会)も注目する。CRB指数はエネルギーと農産品の構成割合が高く、【WTI】(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の影響を受けやすい。 ◆3_「日経商品指数42種」は景気動向指数の先行指数 国内の商品指数には、【日経商品指数】がある。景気動向に敏感な素材、燃料などの主要商品の国内企業間取引価格を基に算出される商品価格指数で、17種と42種がある。17種は日次で、42種は月次(速報として週末値も算出)で公表される。景気の後退・回復の各局面にいち早く反応する傾向があり、42種は内閣府の景気動向指数の先行系列に採用されてる。 日経商品指数には、綿糸、H型鋼、銅地金、金地金、軽油、天然ゴム、砂糖、大豆などが採用されている。42種は昨年11月に最高値を更新し、2月も高値圏で推移している。 国内の商品指数は、川中の位置づけだ。企業物価指数⇒消費者物価指数と波及する。川上から川下へ移行する過程では、為替や輸送コストが影響する。価格変動の要因は複雑に絡み合っていく。企業の利益に直結する川上情報を抑えよう。 文:大石 泉 NPO法人日本FP協会認定上級ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。キャリアコンサルタント。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。約15年勤務の後、’01年にFP事務所を設立。老若男女を対象に身近な新聞をつかった経済教育、キャリアデザイン、資産形成などの講座や研修を大学、企業へ展開。個人向けには、客観的なファイナンシャルプランニング、ライフ・キャリアプランニングを提供している。金融リテラシーの普及活動が評価され、金融庁と日本銀行から’14年度金融知識普及功績者として評される。
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