セレクトショップ販売員、百貨店外商、ヘアサロンオーナー 一流たちに学ぶ“稼ぐ接客”の極意
親子3代が顧客に 人気ヘアサロンの接客
ラストの第3幕ではビューティ市場にフォーカス。登壇するのは渋谷と新宿に店舗を構える人気のヘアサロン 「ヴァイス(VAICE)」で代表を務める浅野宏明さんだ。同サロンはハイトーンから白髪染めまで、幅広い世代のオーダーに対応することで評判を博しており、美容機器の売り上げでも全国トップクラスを誇っている。ファシリテーターを務めた中村慶二郎「WWDJAPAN 」編集部シニアエディターによれば、ヘアサロンは、顧客の滞在時間が少なくとも2~3時間という「特殊な業態」であり、いかに負担や違和感を抱かせない接客に徹するかが肝になる。浅野さんは「だからこそ、僕は余計な商品の説明は絶対にしない」とと断言する。
一般のヘアサロンでは、仕上げにヘアミルクやヘアオイルを塗布したり、ヘアセットをしたりすることが多いが、「それは美容師のエゴではないか」と問いかける。「お客さまはその匂いが実は苦手かもしれないし、すぐに帰宅して就寝したいかもしれない」。そんな中で、サロン専売品や、ドライヤーやヘアアイロンなどの美容機器をどう売っているのか。「売ろうとする接客はせず、始めから終わりまでカウンセリングをする意識でいる」といい、例えば、「リファ(RIFA)」の新しいドライヤーであれば、折りたたみ式であることと海外の電圧にも対応していることをメリットとして挙げ、それを海外旅行好きの顧客に紹介する。「トリートメントの提案も、価格がネックになっているお客さまには『ドンキで買った方がいいよ』と提案することもあります」と笑う。
こうして地道に積み上げた安心感は、顧客層の中心が30~40代女性である「ヴァイス」の間口を広げている。浅野さんはインスタグラムに、子どもやお年寄りを接客する様子を投稿しているが、「お客さまが自然に連れてきてくれるようになっただけ」と話す。自身が信頼する美容師に、子どもや親のヘアスタイリングも任せたいと思う人が多いようで、今や親子3代を同時に施術することも少なくないという。「あくまでも目の前のお客さまが何を1番求めているかを考えて、それに合わせた提案をするのみ」。至極シンプルに思えるアドバイスには、浅野さんの経験値による裏付けがあり、さらなる金言を求めてセミナー視聴者からはさまざまな質問が寄せられた。