首里城の復元作業進む 伝統工法とハイテク融合 火災から5年、赤瓦の曲線美再び
ただ、どんなに精緻な図面でも「2次元と3次元の曲線は違う。どうしても現場合わせで調整が必要になる」(奥村さん)。瓦葺きの前にはモックアップ(実物大模型)を作成し、屋根の傾斜や瓦の置き方などを確認する念の入りようだ。
「赤瓦をちゃんと並べると、こうしてきれいな斜めの線が浮き上がる。品質管理を徹底し、見た目にもこだわって復元したい」。奥村さんは屋根を見上げた。(大竹直樹)
◆首里城火災
令和元年10月31日午前2時半ごろ、正殿から出火し、計7棟が全焼した。世界文化遺産である正殿を支える「基壇」の遺構にも灰が入り込んだ。施設にはスプリンクラーがなく、鎮火まで約11時間かかった。内閣府沖縄総合事務局などによると、建物と収容物の損害額は約84億4千万円。沖縄県警と那覇市消防局は出火原因を特定できなかった。創建以来、度重なる火災に見舞われ、焼失は5回目。県によると復興に向けた基金には今年9月末までに国内外から計約59億円が集まった。