定着しない若手社員に悩む企業。ハローワーク阿倍野調査。目指すは職場の相談力アップ?/大阪
仕事以外の悩みの相談相手がいない
将来的に転職や独立を目指す働き手にとっても、若いうちは社会人としての素養を身に付け、キャリアの土台を築く大事な助走期間。企業と働き手の意識面でのミスマッチを和らげ、双方で働きやすい環境を作る姿勢が求められる。 そこで注目されるのが、求職者に聞いた次の質問項目。前職の配属先の教育体制を聞いたところ、「あなたを教育・指導する立場の担当者がいた」の回答は75.5%。「すぐに仕事上の質問ができる上司・先輩がいた」の回答は68.6%だった。 しかし、「仕事以外の悩みを相談できる上司・先輩がいた」の回答は49.0%と伸び悩んだ。仕事を教えてもらえ、質問のできる上司や先輩はいるものの、仕事以外の悩みまでを相談できる相手が見当たらないという職場環境が浮き彫りになってくる。
目指すは「職場の相談力」アップ
調査を実施した藪下茂記統括職業指導官は「定着に向けた企業の取り組みは評価できますが、若手社員とホンネで語り合う間柄になるのはむずかしい」としたうえで、企業に対し、「若手に仕事をまかせることで対話を増やすなど、職場全体で若手をサポートして相談しやすい環境を醸成してほしい」と訴える。 中小企業ではひとり入社が多いが、同期入社組がいる場合と比べると、孤立しがちだ。西田恭二雇用開発部長は「職場で相談相手を作ることがとても大切。あまり付き合いがなくても、思い切って年齢の近い先輩などに相談してください」と話す。先輩も同じ悩みを抱えた経験があるため、適切な助言が得られるかもしれない。 目指すは「職場の相談力」アップ。何でも相談し合える職場になれば、社員が継続して元気に働き、会社の収益も上がる好循環が生まれてきそうだ。 (文責 岡村雅之/関西ライター名鑑)