定着しない若手社員に悩む企業。ハローワーク阿倍野調査。目指すは職場の相談力アップ?/大阪
若手社員が職場に定着してくれないと、企業の半数が悩んでいることが、このほどハローワーク阿倍野(大阪市阿倍野区)がまとめた調査結果で分かった。将来、転職や独立を目指す働き手にとっても、若いうちはキャリアの土台を築く大事な助走期間。ハローワーク担当者は、企業と働き手の双方に「職場で何でも相談できる環境を作って職場定着を進めてほしい」と呼びかける。
企業「若手社員の定着率の悪さに悩む」
この調査は「若年者の職場定着に関するアンケート調査」で、調査対象は今年度新卒者採用を予定している企業と、ハローワークを利用する34歳以下の若年求職者。企業60社、求職者102人から回答を得た。 企業に対し、若手社員の定着状況を聞いたところ、6社が「非常に困っている」、26社が「やや困っている」と回答。半数を上回る企業が、若手社員の定着率の悪さに悩んでいることが判明した。 実施している定着対策の重点項目をあげてもらうと、「若手が職場で話しやすい雰囲気を作る」「本人の希望を生かした配置を行う」「採用後の配置で教育担当者をつける」が上位を占めた。
入社早々感じた違和感を解消できず退職
一方、求職者に対し、「働き続けるために、企業にどのようなことを望むか」と問いかけると、「休日をとりやすいようにする」「仕事と家庭の両立支援策を充実させる」「パワハラ・セクハラのない職場をつくる」を望む声が強かった。「若手が職場で話しやすい雰囲気を作る」など企業の重点項目トップ3は、7位、8位、14位で、いずれも求職者の希望順位は高くなかった。企業の意気込みが空回りしがちで、企業と働き手の思いがかみあっていないようだ。 さらに、求職者に対し、前職(在職中の場合は現在の企業)で、最初に転職したいと考え始めた時期は入社後のいつからだったかと質問したところ、「入社してから3カ月以内」が27.5%でもっとも高かった。若手社員が社内の交流を深められないまま、入社早々感じた違和感を解消することができず、早期退職に踏み切ってしまうケースが少なくない。