【中学受験相談】親のモチベーションが上がらないまま6年生に突入します|VERY
『中学受験生を見守る最強メンタル!』というタイトルで書籍化された、話題の連載・おおたとしまささんの『悩めるママのための、受験進路相談室』。この連載では、過熱する都心部の中学受験や受験をとりまく環境に悩むママが毎月登場し、教育ジャーナリストのおおたとしまささんに進路相談。おおたさんの愛あるアドバイスは必読です!今回は、受験に対して親のモチベーションが上がらないまま6年生に突入するお母様からの相談です。
【今月の質問】受験に対する親のモチベーションが上がらないまま6年生に突入します[受験進路相談室]
Nさんの場合 【家族構成】 夫、長女(小5)、次女(6歳) 【今回相談する子どもの状況】 地元中の統廃合をきっかけに、小5の6月から中学受験勉強をスタート。四谷大塚準拠の地元塾に通塾しつつ、週1で図工教室にも通っています。ただ、中学受験に対する親のモチベーションが今ひとつ上がりません。またワンオペかつ下の子の世話や自分の仕事もあり、学校見学や文化祭にも一度も行けていないという状況です。 夫は中学受験にポジティブではなく、「第一志望ではない学校に進むくらいなら、高校受験でもいいのでは?」と言っています(最近は娘の頑張っている姿を見て、塾の送り迎えや面談に参加してくれていますが)。実は私も夫と同じような意見です。娘は今年になって『古事記』に夢中になり、オフ会のようなものに出席するほど。そのため神道が学べる学校を目指していますが、そのほかの学校に関しては入っても合わないかもしれないと懸念しています。親としても「嫌になったらいつでも辞めていい」「図工教室を続けたいなら、それでもいい」と言ってしまっているのが現状です。
親がつきっきりで見るというのは噓です。それでうまくいくことのほうが圧倒的に少ないので
Kさん(相談者):今5年生(3月7日時点)の娘について、受験を本当にやるべきものなのかと、一番最初の段階で悩んでしまって。私がもともと中学受験を経験しているのでそんなに抵抗はなかったんですが、昔と今だとかなり変わっていますし、親としての向き合い方がまだできていないところが正直あって。夫も、最終目標を考えたら大学なのかな、と。 オ(おおたさん):親のほうが煮え切らない感じがね、いいのかなってところですよね。 K:そうですね。でも塾の先生は「お母さんお父さんは、勉強に対して一切手を出さなくていいです。お母さんお父さんのやることは学校を見つけてくるだけですよ」って。若干それで私の中では安心したんですね。「宿題が大変で、土日も親が一緒になってみてあげないといけない」っていう話もあって、私そこまではできないと思っていたので。ちょっと話は逸れますが、うちの子は、古事記が大好きなんですね。 オ:へえー。 K:一つのことに対してのめり込むタイプです。その塾の先生がそういう子のほうが教えがいがありますと。 オ:なるほどなるほど。じゃあそういうふうに言ってくれる塾に通っているんだけれど、でもそれでいいのかしらって迷いが。 K:本人も神道に関しての学校選びをしたいって話をしていて、ただ神道を学べる学校ってすごく少なくて。むしろその、大学の専門分野になるので。だからなるべく、その神道がある学校を探そうねって言っていて。それが中学校で私立に行くべきなのか、公立でいいのか、大学で極めるべきなのかってところで悩んではいます。潰したくない彼女の目標でもあるので。 オ:まず、中学受験への親の関わり方として、今のままでいいんだろうかって悩み事と、あとは神道あるいは古事記に興味を持っているお子さんの、興味をできるだけ生かしてあげられる学校選び、受験のタイミングがあるのかなって2つの問題があったかと思うんですけど。 K:はい。 オ:まず一点目。親がつきっきりで見るというのは噓です。それでうまくいくことのほうが圧倒的に少ないので。本当にもの好きな一部の、受験が趣味みたいなお父さんだかお母さんだかがネットで声高に騒いでいるだけだから。そういうのが好きだったり得意だったりして、それでうまくいく人もいるんでしょうけれど。ほとんどの塾は「塾の勉強に一切口出さないでください」って言いますからね。お家ではリラックスさせてあげる。 K:そうですね、その環境が必要じゃないかなって。 オ:それが健全な中学受験じゃないかなって。親が頑張るのって変じゃないかなって。 K:うちは下の子もいるので、何かあればそっちを優先してあげなきゃいけないし。 オ:ねえ。「リビング学習」って、今もあるかもしれないけれど、僕、そんなにいい方法とも思っていなくて。だってリビングなんてみんながくつろぐところで勉強して、静かにしなきゃならないなんておかしいじゃんって。 K:あはは。 オ:勉強って何よりも優先順位が高いんだって文化が刷り込まれて、勉強する子にはなるかもしれないけれど。それって家族団らんの場所でしょって。だって逆にリビングで親が残業してて、子どもがテレビ付けたらうるさい!って家って変でしょ。 K:そうなんですよね。 オ:だから僕は、今のやり方で全く問題ないと思いますけれど。 K:塾も楽しく行ってくれているので。 オ:うん、それが一番。あとは、何か強い興味関心を持っている子にどういう環境がいいかっていうと、だったら高校受験に邪魔されないのはすごく重要なんじゃないかなと思います。 K:6年間でのびのび自由にできるってことですよね。 オ:そこであんまり勉強勉強ってうるさくない学校に入れれば。ただ神道を教えてくれる学校ってほとんどないと思うんですけど。 K:そうなんですよね、ないんですよ。 オ:でも学校で教えてもらう必要は全くなくて。 K:はい、今もほとんど独学なので(笑)。 オ:それぞれの子がそれぞれの特技があって、「カエルのことだったらこの子に任せておけ」って博士がいたり。すごいニッチなところ、世間一般で「そんなことやってどうするの」ってことにのめり込んでいる子がヒーローになれる学校がいいですね。高校受験がない環境で、ゆっくり時間をかけて、そういう世界にのめり込む。古文の先生とかね、古事記の専門家ではないかもしれないけれど、質問したら喜んで教えてくれると思うし。 K:引っ張り上げてくれる先生がいらっしゃれば、すごいラッキー。今回の塾も、本当に引っ張り上げてくれる先生がいらっしゃったので、本当にいい出会いだったと思っていて。 オ:どんな学校でも大学進学実績には触れると思うけれど、でも「大事なのはそこじゃないんだよ」というのが滲み出ている学校だと、先生自身も自分が興味があることを「面白いだろ」っていう授業をしてくれます。受験進学校、塾みたいな学校に入れちゃうと、「古事記なんて試験に出ないよ」なんて言われちゃう。 K:それは一巻の終わり。そうなったら転校ですって感じになっちゃう(笑)。 オ:最悪ですよね、そんなのは。