震災の経験を後世に 松本心花さん(福島県相馬市・相馬総合高3年) 防災絵本を作成 命の大切さ訴える
子どものうちに被災時の正しい行動を学んでほしいと、福島県相馬市の相馬総合高3年の松本心花(ここな)さん(17)が防災絵本を作成した。14日、市内の保育園で園児に読み聞かせ、命の大切さを訴える。 東日本大震災を4歳の時に経験した。市内の商業施設で母と買い物をしている際に地震に遭遇し、屋外に逃げたのを覚えている。友人とは震災について語り合う機会が少なく、同世代に当時の記憶が残っているのか疑問を抱いていた。 高校1年生の時、東日本大震災・原子力災害伝承館の福島学カレッジに参加し、復興や災害を学んだ。中学1年生から高校1年生までを「震災記憶消滅世代」と定義し、中高生を対象にアンケートを実施した。「体験したことは覚えているが、見聞きした出来事は忘れていく傾向が高い」として、震災について継続的に学ぶ重要性を認識。自分の世代で震災を風化させないと、心に決めた。 学校の授業で、震災を知らない世代への防災教育をテーマに研究している。市内のみなと保育園を訪れ、迅速に園児を避難させ、命を守った職員らに話を聞いた。子どもに分かりやすく伝える手段として絵本の読み聞かせを思い立った。
絵本のタイトルは「もうあえないひと」。4歳の男の子が商業施設で被災し、無事に逃げるが、大好きだったおばあちゃんは津波で犠牲になるストーリーだ。迅速な避難の大切さや災害の恐ろしさを描いている。実体験と空想を交えて構成した。読み聞かせはみなと保育園で5歳児を対象に行う。集中力を保ってもらうため、園児への質問を交えながら進行する予定だ。 今後、新たな絵本の作成や読み聞かせ活動の継続も考えている。将来の夢は子どもと保護者に寄り添える保育士になること。卒業後は専門学校で学んだ後、地元に就職したいと願う。