新車時の約2倍! 1億円近くまで高騰したメルセデス・ベンツ「CLK DTM AMG」とは? バトンやライコネンも手に入れた、いまや幻の名車を紹介します
0-96km/hを3.8秒で駆け抜ける
DTMを制したCLK DTM AMGはもちろんその圧倒的なパフォーマンスを披露したが、限定生産されたこの市販版のCLK DTM AMGは、考え方によってはそれよりもさらに魅力的なモデルだったともいえる。 DTMに参戦したモデルは、レギュレーションにより搭載エンジンは500ps以下の4L V型8気筒自然吸気に制限されていたが、その制約がない市販モデルに搭載されたのは、最高出力でじつに582psを発揮する5.4LのV型8気筒スーパーチャージャーエンジン。もちろんC209型CLKクラスにおいては最もパワフルなスペックである。組み合わされたトランスミッションは、メルセデスAMGの「スピードシフト5Gトロニック」。 駆動輪はもちろん後輪で、フル加速を試みると0-100マイル(0-96km/h)を3.8秒で駆け抜け、最高速の320km/hまでその力強い加速が連続するという驚異的な運動性能がこのCLK DTM AMGでは実現されていた。急加速するとその後輪は3速でのホイールスピンを起こしたという。 シャシーもスタンダードなCLKと比較して大幅にアップグレードされている。強化スプリングと車高調節式のショックアブソーバー、強化リア・アンチロールバー、標準のゴム製ブッシュに代わる新しいハブキャリア、ドライブシャフト、金属製ジョイント等々が採用され、さらにブレーキも前後ともに大型化。LSDやトラクションコントロール、スタビリティコントロールの制御も変更された。
カブリオレにはCFRPを採用
このクーペに続いて生産されたカブリオレも、基本的なメカニズムは共通だ。大きな違いといえるのは、軽量化のためにカブリオレではフロントフードにCFRP素材が採用されていること。クーペのそれは標準的な金属製だが、オープン化にともなう重量増を少しでも相殺しようという考えが、このフロントフードには表れている。またキャビンはクーペの2シーターとは異なり、左右に独立したバケットデザインのリアシートを持つ4シーターとされているのも、CLK DTM AMG カブリオレの特徴だ。 今回オークションに登場した2台のCLK DTM AMGは、いずれもアメリカ向けに輸出されたものだが、登録上の扱いはあくまでも「展示用」とされ、したがって走行にはさまざまな制限事項が課される。年間走行距離が2500マイル(約4023km)を超えて走行することができないことなどはその代表的なもの。 ちなみに現時点での走行距離は、クーペが875マイル(約1400km)、カブリオレは3275マイル(約5240km)という数字。さらに両車は最近、メルセデス・ベンツ・クラシック・センター・モントレーにおいて、車両全般のメンテナンスを実施。オリジナル性を保つためにタイヤは新車時からのものをそのまま残しているが、次期オーナーにその交換が推奨されているのは言うまでもないところである。
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