監督に「休憩の年」と期待されない学年の3連覇偉業 京都精華学園が「日本一」を封印した1年【高校バスケ】
SoftBank ウインターカップ2024
バスケットボールの全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2024」は28日、東京体育館で女子決勝が行われ、京都精華学園が慶誠(熊本)に59-54で3連覇を達成した。2021年桜花学園以来、史上3校目の3連覇で2年連続3冠を達成。新チーム結成当初は指揮官が「休憩の年」と思うほど順風満帆ではなかった。内部進学組、学年などにこだわらず力を磨き、たどり着いた偉業だった。 【動画】「高1だぞ」「ステップエグ過ぎ」 バスケ全国大会に現れた新人テクニシャンのプレー映像 体育館の景色が一気に歪んだ。インターハイ、U-18トップリーグに続く今季3度目の全国制覇を告げるブザー。京都精華学園の5人は抱き合い、泣きじゃくった。ベンチもスタンドも喜びと涙。74歳の山本綱義監督は孫を見つめるように笑った。「苦しい戦い。寿命が3年ほど縮んだけど、優勝で5年長生きできる。寿命をありがとう」。序盤は苦しんだが、粘り強いスティールから主導権を握り、県勢初の決勝だった慶誠を退けた。 指揮官の期待値すらも低いチームだった。2連覇した前年と比べて物足りない。「休憩の年」。そんな言葉も口した。チームは「日本一」の合言葉を封印。主将の林咲良は「まずは目の前の試合を集中しよう」と呼びかけた。中高一貫校ゆえ、内部進学組の連係や固い絆が原動力。そこに期待の1年生SF満生小珀(まんしょう・こはく)が別の中学から加わった。 3連覇に不可欠。上級生は力を認め、積極的に輪に誘った。練習は学年ごとに分けず、1年と3年が同じコートで切磋琢磨。レギュラーと控えの壁もなく、全員がボールに触れる機会を増やしたことで底力が上がった。入学時は「やりづらいかな」と不安を抱えた満生は「みんなフレンドリー。先輩も凄く優しかった」と感謝。今大会は全試合に出場し、巧みなボールさばきと鋭いドライブで貢献した。 準々決勝は3点差、準決勝は2点差の接戦続きで有終V。決して見放さなかった山本監督は「試合ごとに結束が強くなった。凄い情熱が選手たちの中にあった」と1年前が嘘のよう。2002年に6連覇した名古屋短大付(現桜花学園)以来の4連覇が期待される。満生は「まずは新人大会(2月・和歌山)。プレーでチームを引っ張れるようになりたい」と照準。黄金時代を引き継ぐ覚悟を見せた。
THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda