<レポート>元CHAIマナが語る、音楽業界をナビゲートする上で“優先順位をはっきりさせる ” ことの重要性【Spotify EQUAL x Billboard JAPAN FIKA vol.3】
音楽のフィールドで活動する女性をサポートするプログラムをそれぞれ展開してきた、SpotifyとBillboard JAPANが行うジョイントプログラム【Spotify EQUAL x Billboard JAPAN Women In Music】の招待制イベント【FIKA(フィーカ)vol.3】が、2024年5月10日にTHECOOにて開催された。 その他の画像 「女性アーティストが長く活動するには? 」「音楽業界で働く女性のキャリア形成とは? 」などをテーマに、現状を理解し、学び、悩みを共有する場を提供しているこのプログラム。vol.3には、元CHAIのマナが登場し、「NEOかわいい」という価値観に基づいたバンド活動を通じて得た経験を、集まったアーティストやマネージャーに共有するとともに、より働きやすい環境を実現させるための提案を行った。 「かわいい」という言葉や「ガールズバンド」と呼ばれることへの違和感を公言し、リスナーを肯定するボーダレスなメッセージを発信してきたCHAI。“女バンド”として活動してきた彼女たちが、「NEOかわいい」という言葉は作ったのは、マナ曰く“かわいい以外の人を褒める言葉がこの世になかった”からだったそうで、この言葉で自分たちの“かわいさ”を表現したかったそうだ。メンバー全員が自分に自信を持てずに育ってきたと続けたマナは、「自信がないからこそ、自信があるように見せられる音楽を通して“NEOかわいい”が伝わったんだと思う」と続けた。 その楽曲や演奏を通して、「かわいい」という概念を打ち破り、女性アーティストに対するバイアスに立ち向かってきたCHAI。ルッキズムやエイジズムに対処するために活動当初から年齢を公表しないことで偏見を回避してきた経緯も明かすと、ジェンダーギャップを解消する一歩として、まず「ガールズバンド」などカテゴライズする言葉をなくしていくことが必要だと話した。 また、メンバー間で日常的に行っていたお互いを褒め合うことの重要性に加え、マネージャーやスタッフとの信頼関係の構築についても触れると、実はコミュニケーションが苦手なミュージシャンも多いと指摘。きちんと認識のズレのすり合わせを行うこと、そして何かを伝える際に表情やトーンを意識することで印象が変わると話した。 後半では、音楽シーンで長く活動していくために、自分やチームの幸せを最優先にすることを強調。メンバーが女性同士だったからこそできた助け合いや長期間休ませてもらえたことへ感謝を述べるとともに、業界内での働き方改革の必要性を唱えた。アーティストのマネージャーとして働く女性たちが年を重ねるごとに離職していく理由に“多忙さ”を挙げると、「自分よりも相手(マネージャー)の幸せを願って、相手の日常がある上での仕事だということを常に考えている」とマナは説明。そして音楽業界の古い習慣やしがらみにとらわれずに、自分にとっての優先順位をはっきりさせることで、“何が幸せか、何が大事か、今何をした方がいいか”が見えてくると締めくくった。 ◎イベント情報 【FIKA vol.3】 2024年5月10日(金) 原宿・THECOO Spotify EQUAL Japan Billboard JAPAN Women In Music