ブラジル市場に動揺走る、トレーダーは「まず売ってから尋ねろ」態勢
(ブルームバーグ): ブラジル政府の財政危機封じ込め能力を巡る投資家の信頼が失われる中、通貨レアルの急落から始まった動揺が今、同国金融市場の他の分野にも広がっている。
レアルを過去最安値に押し下げた売りの勢いは、株式から現地通貨建て債券やドル建て債券にまで及んでおり、トレーダーらは国のデフォルト(債務不履行)に対するヘッジにも踏み込んでいる。市場ウオッチャーは、通貨下落に歯止めをかけるために中央銀行が17日に実施した異例の措置は一時的対処に過ぎないと指摘。注目度の高い緊縮財政パッケージを議会が骨抜きにしかねない兆候は、混乱を増幅するだけだろうと警告している。
こうした動揺の広がりは、ルラ大統領が膨らむ財政赤字の抑制に真剣なのか投資家が一段と懐疑的になっていることの表れだ。ルラ大統領の最近の緊急脳手術は最悪のタイミングで行われ、財政再建への取り組みをさらに複雑なものにした。
ボントベル・アセット・マネジメントのマネーマネジャー、セルゲイ・ゴンチャロフ氏は「ブラジル市場は現在、『まず売ってから尋ねろ』という状況だ」と指摘。「財政懸念と中銀による為替相場変動への対応が重なり、パニック的な売りを誘発した」と分析した。
レアルは過去4回営業日に世界通貨で最悪のパフォーマンスを記録。対ドルでは今年に入り21%下落した。ブラジル株の指標ボベスパ指数は3.8%値下がりした。スワップ金利は急上昇。ドル建て債相場は、デフォルトに陥ったレバノンに次いで新興国では最大の下落を記録。5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは1年余りで最高の水準に拡大した。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「債券の観点から見ると、危機的段階に達している」と指摘。「ルラ大統領は建設的な発言をしなければならない」と述べた。
原題:Brazil Traders ‘Sell First, Ask Later’ as Panic Sweeps Markets(抜粋)