自ら命を絶とうとする人を救いたい……札幌のセンターと図書館がコラボ展
【北海道・札幌】2006年に施行された自殺対策基本法。この法律の制定を受けて、各自治体ではさまざまな取り組みを行っています。札幌市では現在第2次札幌市自殺総合対策行動計画(札幌ほっとけない・こころのプラン)に則ってセミナーや啓発イベントを開催、その中で生まれたのが、札幌こころのセンターと札幌市中央図書館とのコラボレーションです。
何が救いとなるか「ゲートキーパー」の役割
そのコラボとは、2月6日(土)から開催中の「いのちについて学ぶ展示会」。これは、同図書館内の展示室にて同センターが作成したパネルを展示しているもので、今回で2回目の開催となります。 同センターの細江早苗さんによると、「展示会に来られた方々が一番驚かれるのが、交通事故で亡くなる方よりも自殺者の方が多いということです。そのため、私たちは“いのちの危機を救う人”……『ゲートキーパー』という、周りの人の悩みに『きづく・きく・みまもる・つなぐ』役割を重視した啓発活動を行っています」とのこと。 2014年度の札幌市の自殺者は345人(男性226人・女性119人)で、自殺対策基本法が施行された06年度と比較すると16%減少しています。しかしながら、年代別死因順位では10代から30代では「自殺」がトップを占めているという現状もあります。 「ゲートキーパーは資格ではありません。『きづく・きく・みまもる・つなぐ』……これらの行動が命を絶とうとしている人たちにとって、救いになるということを伝えていければと思っています」(細江さん) 実際、自殺をしようとしている人への声掛けとして、何が救いになり、何が追い込んでしまうのか、かなりの誤解があるといいます。「一番必要なことは、自殺を思いとどまるよう説得するよりも、まずは相手の話を聴いてあげること。そのためにも、ゲートキーパーの役割をしっかり伝えていきたいです」と細江さんは話します。
「いのちを守る」書籍で特設コーナー
また、図書館とのコラボレーションということで、貸出カウンターの横にとは特設コーナーも設置されています。同図書館の高橋夏海さんによると、「いのちを守ることに関わる書籍はたくさん出ていて、その中から厳選して80冊を特設コーナーに並べています。図書館としても、このような啓発活動に協力できればと思います」と、コラボレーションの意義を話しました。 今後も、同センターではゲートキーパー研修会やトーク&コンサートなどで啓発活動を行っていく予定。「いのちについて学ぶ展示会」は2月21日(日)まで開催されています。 (ライター・橋場了吾)