NHK受信契約が4年で100万件減、不払いは倍増「テレビ離れがどう影響しているか答えるのが難しい」
NHKの必要性、具体的理由を営業の最前線へ
ちなみに年間の解約件数の推移を見ると、19年度末が99・7万件で、その後、20年度末104・3万件、21年度末91・9万件、22年度末93・7万件となり、昨年度末は88・1万件と過去5年間で最も少なくなっている。それでも契約総数が減少しているのは、まさしく解約数を上回る新規契約が獲得できていないからだ。
値下げの影響で、NHKは今年度から3か年は赤字予算を組み、27年度に事業支出5770億円で収支均衡させる方針だ。23年度予算と比べると事業支出は1000億円の削減となり、受信料収入が改善しない限り、その後も同程度の財政規模で運営せざるを得ないとみられる。
その意味では、新規契約獲得と契約者の不払い解消こそが今後の公共放送運営の大きなカギとなるが、従来のような外部の専門会社による契約収納活動が復活することはないという。未契約・不払い対策として、割増金請求や民事督促手続きもあるが、「それらはあくまで最後の最後の手段」というのがNHKの基本姿勢だ。それ故、小規模ながらも、営業スタッフによる対面での地道な説得活動は一つの活路となりそうだ。そこで肝心なのは、NHKに背を向ける人たちに何を語れば、振り向いてもらえるかだ。
会見で古賀委員長は「執行部は現状を踏まえてどういう手立てを打ち出すか真剣に検討しなければならない」と述べた。インターネットの普及でニュースの入手手段が多様化している上、ユーチューブなど娯楽の選択肢も広がった今の社会で、なぜ受信料制度に基づく公共メディア・NHKが必要なのか。稲葉延雄会長以下の執行部は、まずはできるだけ具体的にその理由を示し、営業の厳しい最前線を担うスタッフに託してやるべきだろう。