NHK受信契約が4年で100万件減、不払いは倍増「テレビ離れがどう影響しているか答えるのが難しい」
ところが、これに要する経費が高すぎるとの批判が根強く、ついに昨年度、営業の中軸だった外部の専門会社による契約収納活動を終了した。現在では、放送やインターネットでの呼びかけのほか、住所の記載があれば相手先の名前が分からなくても配達できる「特別あて所配達郵便」を活用。正当な理由がない未契約者に対する割増金制度も導入されている。
営業スタイル変更で負のトレンド加速
当初はこうした新手法が功を奏し、新規契約に結びついたが、テレビを持ちながらいまだに契約を結んでいない人の多くは、NHKの番組や受信料制度に疑問を持つ人も多い。こうした相手には、担当者が直接面会して公共放送の意義などを説明し、先方の意見にもじっくりと耳を傾ける地道な努力も必要で、未収者に対しても同様の丁寧な対応が欠かせないとの声が営業現場には根強い。つまり、経費節減のために急激に営業スタイルを変更したことで、かえって負のトレンドを加速させたようだ。
また、昨年10月からは、受信契約を結ぶ親元を離れて暮らす学生の受信料を全額免除する対象を拡大したことも、契約総数を引き下げた。とはいえ、営業スタイルの変更も含め、こうしたNHK側の事情だけが契約・支払いに関する負のトレンドにつながっているのだろうか。コロナ禍や物価高が影を落としているのはもちろんだが、25日に記者会見したNHK経営委員会の古賀信行委員長は、「いわゆる“テレビ離れ”というのもあり、いろいろな社会的変化もある」と指摘した。
契約総数の減少にテレビ離れが影響しているかどうか判別する指標はなく、ブリーフィングで担当者も「どう影響しているのか現時点では答えるのが難しい」とした。ただ、ネット時代の今、わざわざ受信契約を義務付けられるテレビを持つ必要はないと考える人が若い世代を中心に増えているのは事実だ。たとえテレビを持っていながら未契約だったり、既に契約しているが不払いだったりする人も、今後はテレビのない生活を選ぶ可能性は十分ある。