総選挙の結果で足元揺らぐ石破政権…これからの周辺国との関係は?
生き物だから、海外に輸出するためには日本国内での検疫が必要だ。だが、昨年11月から中国政府が、この検疫許可手続きの更新を認めなくなった。つまり、中国へ輸出できなくなっていた。日中両国の協議を経て、日本国内6か所の養殖場で、必要な検疫が再び始まった。ニシキゴイの生産は新潟県が圧倒的なシェアを持つが、福岡県でも筑後地方を中心にさかんだ。 一昨年の中国向けニシキゴイの輸出は総額12億円。他の輸出品に比べ、大きな額とはいえない。だが、考えてみよう。コイはそもそも中国大陸にルーツを持ち、それが日本に渡来した。日本の技術で改良を重ね、世界中で高く評価されるようになった。日本産ニシキゴイの中国輸出は、進化した形になっての、言わば“里帰り”。「日本と中国を結ぶのがニシキゴイ」と位置付けると、今回の輸出再開は、中国から日本への関係改善のサインと受け取れないだろうか。 これは、中国政府の外交関係者から直接、聞いた話だ。中国サイドは、日本人が抱く中国のイメージ悪化をかなり深刻に受け止めている。例えば、日本のNPOが昨年、実施した世論調査によると、日本人の92.2%が中国に対しての印象を「悪い」と答えている。前年に比べ、5ポイント悪化しているという。 ■周辺国との関係改善の背景に“経済不振” 中国への好ましくないイメージは、日本に限らない。習近平主席は先週、インドのモディ首相と会談した。インドも日本と同じで、中国の隣国だ。国境問題を抱えるインドとの首脳会談は実に5年ぶりだった。 中国の国内経済が不振を極める。中国が、周辺環境を再構築しようという意欲を持っている背景には、やはり中国経済が難しい状況に陥っている影響は大きい。だからニシキゴイを含め、日本産水産物の輸入を認め、「経済」に関して、日本と協力していきたいという意向が強いのだろう。 中国経済の苦境は、さまざまな数字からも見て取れる。中国が目標に掲げた今年の経済成長率は「5%前後」。先週18日に発表された今年第3四半期(7~9月)の経済成長率は、前の年の同じ時期に比べて4.6%の伸び。その前の3か月=4~6月の4.7%増からさらに減速した。1~9月期で見ると、4.8%だった。年間目標の「5%成長」(*昨年通年5.2%)の達成は微妙だ。