自分を責めるな!セルフ・コンパッション 自分を優しく受け入れことが心の健康と成長につながる
「内なる批判者」と「内なる支援者」が対話 2つの椅子エクササイズで不安減少
セルフ・コンパッションを高める方法の1つに、「2つの椅子エクササイズ」があります(※5)。この技法では、参加者が2つの椅子に交互に座り、違う視点から自分と対話します。1つの椅子には自分を批判する「内なる批判者」が座り、もう1つの椅子には優しさと思いやりを持つ「内なる支援者」が座ります。両者の対話を通じて、自己批判と自己慈悲のバランスを取ります。 具体的には、次のような流れでエクササイズを進めるとよいでしょう。 ・内なる批判者の椅子:自分を批判する内なる声に耳を傾けます。この椅子では、自分への批判や否定的な考えを率直に表現します。例えば、「どうしていつも失敗ばかりするのか」「自分は何もできない」といった気持ちを言葉にします。 ・内なる支援者の椅子:優しさと思いやりを持つ支援者の立場から話します。この椅子に座ったら、自分に優しい言葉や慰めの言葉をかけます。例えば、「誰でも失敗はある」「私は頑張っている」といった内容です。 ・対話を繰り返す:この対話を繰り返すことで、自分を受け入れやすくなります。内なる批判者の声を把握しつつ、内なる支援者の優しさを感じ取ることで、自分への理解と共感が深まります。 実際に、2つの椅子エクササイズの参加者はセルフ・コンパッションが高まり、抑うつ傾向や不安が減ることが明らかになっています。 2つの椅子エクササイズは、必ずしも発声しなくても実践できます。静かなリラックスできる場所において、心のなかで、批判者の声と支援者の声を往復し、自分への思いやりを高めるとよいでしょう。 とはいえ、セルフ・コンパッションは即座に高まるものではありません。自分自身と向き合い、自分を大切にする習慣を身につけていきたいところです。 セルフ・コンパッションは、私たちが自分自身と向き合い、自分を大切にするための力強いアプローチになり得ます。自分に優しくすることで、より健康で充実した職業生活を送ることができるでしょう。