ウクライナ戦争の民間人死者、開戦以来で1万2300人超=国連当局者
Emma Farge [ジュネーブ 8日 ロイター] - 国連人権高等弁務官代理のナダ・アルナシフ氏は8日、約3年前に始まったロシアのウクライナ侵攻により1万2300人以上の民間人が死亡したと明らかにした。 死者には650人の子どもが含まれている。ただ、国連はこれまで、国連チームの確認が取れた死者のみを集計しているため、実際よりも少ない死者数になっていると繰り返し説明している。 アルナシフ氏は国連人権理事会の会合で、ドローン(無人機)や長距離ミサイル、滑空爆弾の使用によりここ数カ月で犠牲者が増えていると指摘。ロシア軍はウクライナ東部の領土奪取に向けた作戦を強化しており、「特にドネツク、ヘルソン、ザポロジエの最前線において民間人に深刻な影響を与えている」と述べた。 また、「ドローンの使用増加や新兵器の導入が民間人に与える影響を深く懸念している」とした上で、ロシアが住宅地で破壊力の高い誘導爆弾や滑空爆弾を使用していることに言及した。 国際人権法に対する重大な違反が増加しており、戦争犯罪に相当する可能性があるという。 ロシア代表団シニアカウンセラーのエフゲニー・ウスティノフ氏は、国連の報告は偏向しており、ウクライナ側の犯罪を覆い隠していると述べた。 ロシアは開戦以来、ウクライナでの残虐行為や民間人を標的にした行為を否定している。 ウクライナのフィリペンコ在ジュネーブ国連大使は、ロシアの最近の行動を「計算され、残酷で、最大の苦痛と破壊を与えるように計画されている」と表現した。 アルナシフ氏はロシア側の報道を基に、ウクライナ軍が昨年8月から攻勢を強めているロシア西部クルスク州でも、何人かの民間人が死亡していると述べた。 国連人権監視団は、ロシアへのアクセスができず、公開されている情報が限られているため、ロシア側の犠牲者を集計していない。