今の会社は〈ここまで〉かな…“やる気ある若手”が愛想を尽かす「上司」のアウト発言集
【改善策】仕事の付加価値を評価し、同調圧力を排除する
■「時間」ではなく「付加価値」で測る 長時間労働の是正や有給休暇を取ることへの理解など、頭ではわかっていても感覚としてまだ腑に落ちていない上司がいる組織は少なくありません。その原因の1つは、いまだに仕事を「時間」でとらえている点があげられます。 「どれだけ熱心に時間をかけて仕事をしているか」「仕事をするうえでは、時間を共有することが大切」など、「時間」で仕事を考えようとしているのです。 しかし最近は、時間との比例だけではない仕事も増えています。付加価値をどれだけ出したかが求められる仕事がそうです。そしてもっと言えば、かける時間が短いほど、効率は良いことになり、高効率で高付加価値な仕事こそ評価されるべきです。仕事の価値の再定義を、そろそろ本気で取り組む時代になっています。 その延長線上として、高付加価値を生み出せるようになるための経験の1つが「副業・兼業」です。2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、安心して副業・兼業に取り組めるよう企業に導入を促しています。 副業・兼業を行う人の背景は様々で、もちろん「1つの仕事だけでは収入が少なくて生活ができない」という理由もあるでしょう。しかし、それとは別に副業・兼業によって視野やネットワークが広がり、専業との好循環を生む効果も期待されているのです。多様な経験によって、その人の視野が広がり発想力が高まることは、組織へのプラスの影響をもたらすことにもつながります。 ■行きすぎた「公平・平等」意識は、「同調圧力」を生む 「働き方改革」というフレーズは、ビジネスシーンでここ何年かよく聞かれます。厚生労働省が推進する「働き方改革」では、その基本的な考え方として「働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」としています。長時間労働の是正などを通じ、多様で柔軟な働き方が実現できるような職場づくりが、職場の魅力づくりにつながり、人材確保や人手不足解消、業務の効率化や生産性向上につながる好循環を生むという取り組みです。 しかし、かつての日本の組織では、できるだけ「公平・平等」であることが意識されていました。そのため、時に「周囲と同じ」ことを求めてしまう傾向があり、それが行きすぎると「同調圧力」となります。 少数意見を持つ人に対して、周囲の人と同じように考え、行動することを暗黙のうちに強制してしまう。「みなと一緒に、もっと長く働く」「勝手に休まず、一緒に頑張る」。そのような空気感が組織内に漂っていないでしょうか? 終業時間をすぎて、用もないのに上司が席にいて周囲を見回している。そんな行為も、じつは同調圧力として周囲に影響を与えていることを理解すべきです。 同調圧力は、度がすぎると、ハラスメントにもつながりやすくなります。無意識のうちに、パワハラ、セクハラ、モラハラなどの問題が起こりやすい環境をつくっていることも考えられます。「組織は頭から腐る」という言葉もありますが、上に立つ人の考え方によって職場に同調圧力が生まれないように、十分気をつけたいところです。 松岡 保昌 株式会社モチベーションジャパン 代表取締役社長 1963年生まれ。1986年に同志社大学経済学部卒業後、入社したリクルートで「組織心理」学び、ファーストリテイリング、ソフトバンクでトップに近いポジションで「モチベーションが自然に高まる仕組み」を実践。 現在は、経営、人事、マーケティングのコンサルティング企業である株式会社モチベーションジャパンを創業。国家資格1級キャリアコンサルティング技能士、キャリアカウンセリング協会認定スーパーバイザーとして、個人のキャリア支援や企業内キャリアコンサルタントの普及にも力を入れている。著書に『人間心理を徹底的に考え抜いた「強い会社」に変わる仕組み』(日本実業出版社)がある。
松岡 保昌