減量にもバルクアップにも効果的 希少糖「アルロース」とは?
ボディメイクの強い味方として注目を浴びている希少糖「アルロース」。その実態を知るべくコンディショニングスペシャリストの桑原弘樹氏が松谷化学で研究所長を務める勝田康夫氏に話を聞いた。 教えてくれるのは…… 勝田康夫(かつた・やすお) 1965年11月11日生まれ。島根県出身。島根大学卒業後、松谷化学工業㈱に入社。以降36年間、研究所で希少糖、難消化性デキストリンの開発に携わっている。 聞き手:桑原弘樹(くわばら・ひろき) 1961年4月6日生まれ。愛知県出身。立教大学卒業後、江崎グリコに入社。スポーツサプリメント事業を立ち上げ、スポーツフーズ営業部長などを歴任し、現在はアドバイザー。桑原塾を主宰し、100人以上のトップアスリートのコンディショニング指導も行っている。
桑原 私がコンディショニングスペシャリストとして、サプリメントを活用しながらのコンディショニングに取り組むなかで、希少糖の一つである「アルロース」に非常に関心をもっています。そこで、今回はアルロースの研究をしている勝田(康夫)所長に質問していきたいと思います。アルロースの機能を最初に聞いてびっくりしたのは、「二刀流」だったことです。つまり、バルクアップと減量の相反する側面をもっていて、使うシーンや使う人によって変わってくるとのこと。前編となる今回では、まず減量のためのアルロースについてご紹介いただけたらと思います。そもそも、「希少糖」とはどんな糖なのでしょうか。 勝田 我々松谷化学が現在共同研究をしている香川大学の何森(健)先生が発見した糖で、世の中であまり存在しないというところから「希少糖」と名付けられました。1991年にアルロースを合成する酵素を持つ土壌菌が香川大学構内で発見されてから希少糖の研究は急速に発展し、その後2004年から我々との共同研究を経て今に至ります。希少糖とは、我々が良く知っているブドウ糖や果糖のように自然界にたくさん存在する糖ではなく、自然界にごくわずかしか存在しない糖です。約50 種類あると考えられており、カロリーがゼロであるエリスリトールや、抗う蝕性で知られているキシリトールなども希少糖の一種で、弊社が販売している希少糖アルロースは機能性表示食品の原材料としても使用されております。 桑原 希少糖の特徴として、カロリーゼロ、非う蝕、甘みがあるというのは共通ですか? 勝田 ものによっては若干のカロリーを有するものもあります。例えばキシリトールは3kcal/g です。 桑原 では、カロリーをもっている希少糖は、ブドウ糖のようにATPの材料になるのでしょうか。 勝田 希少糖はブドウ糖とは異なる形で代謝されたり、大腸で発酵されて一部がエネルギーとして利用されます。 桑原 なるほど。糖質というとグルコースが中心で、世の中では「糖質制限」「糖質オフ」などが推奨され、どちらかというと悪者の印象です。たしかに過剰摂取は良くないのですが、ATPを作る存在としてはブドウ糖が最適と言えます。そのなかで、あえてカロリーのない、あるいは少ない糖があった。アルロースは、なかでも魅力的な機能が複数あります。その一つに血糖値の上昇を抑える効果があると聞きましたが、それはダイエットだけでなく健康に役に立つものですね。アルロースが血糖値の上昇を抑制するメカニズムはどのようなものでしょうか。 勝田 メカニズムは二つあり、一つは小腸において、摂取した炭水化物由来の二糖類を分解する酵素を阻害すること。もう一つは、グルコキナーゼという肝臓の酵素の核外移行を促進して、血中のブドウ糖を取り込み、肝グリコーゲン量を高める働きがあるためです。 桑原 血糖値が上がらないということは、長い目で見ると減量につながりますね。一方で、脂肪燃焼効果もあると聞いています。血糖値を下げる役割のある消化管ホルモン「GLP―1」などが話題ですが、アルロースに脂肪燃焼効果があるのはなぜですか。