リーダーが持つ「発達成熟度」によって問題解決アプローチはどう変わるのか?
ディレクター2(社会化されたリーダー)の場合
あなたはスケジュール調整のメールを送信し、デスクに戻って、なぜあなたの上司モニークと部下のジョナサンが自分抜きで会うことになっているのかと頭を悩ませました。 このような状況はこれまで経験したことがありませんでした。なぜなら、以前の上司は組織における適切なコミュニケーションのあり方に完全に沿って行動していたからです。しかし、新しい上司のモニークは、この広く受け入れられている規範を破っているようで、時々その行動に頭が混乱することがありました。「この上司は間違っているのか、それともただ愚かしいのか?」と考えざるを得ませんでした。 もし報告の仕組みが崩れるなら、そもそも自分の役割をどう理解すればいいのでしょうか?この会議を通じて、モニークは「あなたも自分の部下のさらに部下と直接会うべきだ」というメッセージを伝えようとしているのでしょうか?もしそうなら、モニークにはもっと明確にその意図を伝えてほしいと思いました。自分は読心術の使い手ではありませんし、仮にそうだとしてもそれに頼るのは嫌でした。以前の上司とは常に足並みが揃っていて、役割について混乱することは一度もありませんでした。 一瞬、あなたは不安定な気持ちになりました。「自分の役割を理解できなければ、どうやって仕事をこなせばいいのだろう?」「もし仕事ができなければ、家族にどう貢献できるのだろう?」「友人たちはどう思うだろう?」そんな考えが頭をよぎりました。 この状況はひどい混乱であり、どこから手を付ければいいのか全く分かりませんでした。これについて書かれたリーダーシップの本など見たことがありません。信頼していた以前の上司に代わりモニークがやってきた今、誰に相談すればいいのかさえ分かりませんでした。
ディレクター3(自己主導的リーダー)の場合
スケジュール調整のメールを送信し、デスクに戻って状況を冷静に考えました。このような状況ははじめてでしたが、これまでに対人関係が難しい状況に直面したことは何度かあり、組織の役割に関する混乱が絡む場合もありました。それらを楽しめたことは一度もありません。 一瞬だけ、「そもそもモニークとジョナサンのくだらない会議のことを知らなければよかったのに」と思いました。しかし、知ってしまった以上、これは対応すべき問題だと感じました。それは、上司であるモニークと部下たちの間に存在する重要な哲学的な違いを浮き彫りにしていたからです。 自分自身は、単に形式的な「指揮命令系統」そのものにはあまりこだわりはありません。しかし、できるだけ政治的駆け引きのない職場を作ることには大いに価値を置いています。 このような会議は、状況を落ち着かせるどころか、むしろ政治的な駆け引きを助長する傾向がありました。モニークとジョナサンが何を話しているのか、一瞬考えを巡らせました。たとえば、自分が無視してしまった苦情をジョナサンが持ち込んでいる場合や、サプライズパーティーの計画をしている場合など、二人の間で会議が必要になる正当な理由があるかもしれません。 もしそうなら、自分が指示されるまで気にしないでおくこともできました。しかし、それらのシナリオはあまり現実味がないように思えました。 実際のところ、モニークが指揮命令系統を無視するのはある種の「パターン」になりつつあり、それが破壊的な傾向を持ちはじめていました。最近、部下たちの間に新しい緊張感が生まれたことに気付いており、彼らがモニークの時間と注意を得るために微妙な競争をしている様子が見受けられました。この状況が士気と生産性の両方に悪影響を及ぼしていることは明らかでした。 そこで、モニークと話をして、これらの会議における彼女の目的を把握する必要があると決めました。彼女は明らかに、指揮命令系統に対して自分とは異なるビジョンを持っていました。もしお互いの考えを明確に理解できれば、チーム全体にとって最適な方法を見つけられるかもしれません。 もしかしたら、ここに登場するいずれの人物にも自分自身を見いだせないかもしれませんし、1人または2人の反応に共感する部分があるかもしれません。いずれにせよ、この3人のリーダーは同じ問題に直面していますが、それをどのように考え、どのように行動するかはそれぞれ異なっています。 ディレクター1は、この状況を新しいものだと感じ(これまでに全く同じようなことが起きたことはなかったため)、すぐにこの状況が自分に与える影響について心配しはじめました。彼女の視点は狭く、この特定の瞬間や自分への具体的な結果に焦点を当てていました。 ディレクター2は、自分がどのように反応すべきかわからず混乱していました。この状況の裏にある意図を理解しようとし、自分に何が期待されているのか、自分の役割が何であるのかを模索していました。 ディレクター3は、これまでに同じような経験をしたことはなかったものの、この経験が彼女が直面してきた他の対人的に複雑な状況とどのように類似しているかを広い視野で見ることができました。同様に、モニークの行動が問題である理由についてもより大きな視点を持ち、それをパターンとして捉えていました。この問題が彼女自身に影響を与えることは確かですが、彼女自身の利害は主な関心事ではありませんでした。むしろ、彼女はチーム全体のために「政治的駆け引きの少ない環境」を重視する価値観を大切にしていました。 これらのリーダーたちの間には、さまざまな相違点があり、それがさまざまな対処法を生み出しています。彼らは異なる組織的背景、経験の差、社会文化的な背景の違いを持っているかもしれません。 彼らは異なる人種的背景や異なる国の出身であったり、異なる価値観を持っているかもしれません。 これらの3人のマネージャーの考え方や行動の違いについて尋ねると、人々は多くの可能性のある違いを挙げます。しかし、ほとんどの人が、ディレクター3はディレクター1より「大人」で、ディレクター2より「安心感がある」ように見えると結論づけます。 その「大人」であるという感覚や「安心感がある」という意味については、大人の発達理論によって探求されています。 Originally published by Fast Company [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
真栄田若菜/OCiETe