監督も「そこまで実力ないと思っていましたから…」高校時代は超無名→大学で159キロ右腕に…“ドラフト1位候補”愛知工大・中村優斗は何がスゴい?
今年もドラフト会議の季節が近づいてきた。注目選手のひとりに挙がるのが、愛知工大のエースで最速159kmを誇る大学最速右腕・中村優斗だ。昨年以降、大学ジャパンにも選出されるなど、競合も予想されるドラ1候補だが、高校時代は全くの無名。「地元で公務員に」との将来像を描いていた青年の、進化のワケとは? 《全2回の2回目/最初から読む》 【写真で比較】「えっ、いまと全然違う…!」線の細さがまるで別人…諫早農高時代“ガリガリの中村優斗”とドラ1必至MAX159kmの現在&代表合宿での躍動感満点の投球フォームも見る(30枚超) 同じ世代で誰も投げられない「コンスタントな155キロ前後」を投げて、ドラフト1位確実という剛腕が4年前には「野球は趣味程度にして、県庁で働くことを決めていた」というのだから、若者の潜在能力とはまったく計り知れないものだ。 愛知工業大投手・中村優斗(176cm83kg・右投左打・諫早農業高)のことだ。もちろん高校時代に甲子園の経験はなく、当時は全くの無名と言ってよい存在だった。 「実は中村と同期で声をかけていた高校生投手に、中村レベルの速いピッチャーがいなかったんです」 愛知工大・平井光親監督は、プロ野球・ロッテオリオンズの3年目に首位打者に輝いたほどの野球人である。 「3年の時は145(キロ)ぐらいは投げていたんじゃないかな。今の言い方だとスイーパーっていうんですか、曲がり幅の大きなスライダーも面白いなと思ってね。でも、就職の意思が固いって聞いていたから、来てくれるんかなぁって、ちょっと心配していたんです」
監督の目からも「典型的な嬉しい誤算」
平井監督としても、想定外の成長だという。 「正直、そこまで実力ないと思っていましたから……」 典型的な嬉しい誤算だと、思わず、監督の頬が緩む。 「でも、ここまで伸びてくれるとはねぇ。そんなこと言ったら、本人に失礼なんですけど。走り込みとトレーニングで、ほんとに伸びてくれました」 昨年暮の学生ジャパン候補合宿(松山)から年が明けてしばらくして、春季リーグ戦に向けた強化合宿。終わったあたりからオープン戦が始まって、春のリーグ戦だ。終わってすぐに、2度目の学生ジャパン候補合宿(平塚)があって、ヨーロッパ遠征で侍ジャパンの国際試合。息つく暇もない忙しい10カ月間。もちろん、いつもエース格としてフル回転だった。 「んー、そうですねぇ」 しばらく、何かを思い出しているようだった。 「確かに、忙しかったですねぇ」 「疲れているよねぇ」やや誘導的な振り方をしたら、「確かに体のほうは、かなり疲れていると思います。自分自身の意識の中ではそんなに疲労は感じてないんですけど」。 実直な青年だと思った。九州男児だ。潜在疲労と聞いて、思い当たることがあった。取材の日は愛知工業大とある社会人チームとのオープン戦。 先発はもちろんエース・中村優斗。 初回、立ち上がりから155キロ前後のハイスピードを連発。落ちても151とか152。剛腕・中村優斗の本領は、数字上、発揮されているはずなのに、その「150キロ台」を再三ジャストミートされている。 確かにスピードは出ているが、ボール先行の入りが多く、シュート回転して右打者の頭方向に抜けたボールも時々見られ、力んで腕で投げているようだ。 そもそも暮れの「松山」の時は、腕を振る瞬間に「ウッリャー!」とか声など出ていなかった。もっとスイッと腕を振って、それでも155キロ前後が連発だったのだ。 「松山の時はもっと無心で投げていたように思うんです。今、考えてみると」
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