《ブラジル》現地で活躍する日系企業の今(32)=2輪製造で最も勢い誇る=ヤマハ発動機ブラジル社
現地で活躍する日系企業の今を伝える本連載の第32回目はヤマハ発動機ブラジル社(以下YMDB)の岩村マウロ社長(50、ツッパン生)に話を聞いた。同社は過去7年間、ブラジル国内のオートバイメーカーで最も成長しており、同期間中の成長率は業界平均の8%を大きく上回る17%の成長を遂げた。
ヤマハの工場設立は 日本国外でブラジルが初
YMDBは1970年にブラジルでの操業を開始し、ヤマハ発動機株式会社の日本国外では初となる工場を設立した。ブラジルではオートバイ製造のパイオニアであり、同国唯一の船外機製造業者である。 現在YMDBの製品ラインナップには、様々なバージョンの27モデルのオートバイと29種類の船外機、輸入された9モデルの水上バイクがある。2023年には約30万台のオートバイと7500台の船外機を製造し、これらの製品は、米国、カナダ、日本、アルゼンチン、オーストラリア、フランスなどにも輸出されている。 オートバイ部門はブラジル全土に約550の販売店を持ち、マリン部門は123の販売店と正式造船所に40の整備工場を設置している。オートバイと船外機の製造販売以外にも、同社グループでは製品をサポートするファイナンスや物流サービスなど8つの会社で事業展開をしている。2017年にマナウスで設立された物流会社のヤマログは国内17カ所に拠点を持ち、自社製品および他社製品の運送も請け負っている。 その革新的で卓越した性能やデザインと顧客へのサービスによって、今年、ブラジルで最も重要な消費者評価である「Reclame AQUI」の賞を受賞し、オートバイメーカーの中では最高評価を得た。また、過去32カ月以上にわたり優れた顧客対応を行っている認証マーク「RA1000」も得ている。
創設53年で初の現地人社長が誕生
昨年7月、YMDBでは創設から53年で初めてブラジルの現地人社長が誕生した。日系2世の岩村社長は今年1月に就任。ヤマハグループがグローバル展開を推進してきた中で、ブラジルでも日本からの駐在員ではなく現地人の社長にバトンが委ねられた。 「ブラジル国内のビジネスが拡大する中で、問題や課題も複雑になってきた。この半世紀で現地スタッフもマネージメントチームとして実績を上げてきたことで、グループとして自信がついた結果」と岩村氏は述べる。 ヤマハグループは1960年代から積極的に海外市場に進出し、現在は200カ国以上で約5万4千人の従業員を擁する(ブラジルでは4千人以上を直接雇用)。ヤマハグループの昨年末の地域別売上高構成比(連結ベース)は、日本が5・9%、その他は世界各国となっている。 YMDBグループの本社は昨年7月、工場も併設していたグアルーリョスからサンパウロ市内に事務所、マナウスに工場を移転した。人事も場所も新たな装いで、好調なブラジルの業績がヤマハグループ全体に活気をもたらしている。
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