「なんと、120度バンクのV6は8500回転も回る!」by 清水和夫 これが、フェラーリ296GTSに乗ったモータージャーナリストのホンネだ!!
美しい音を奏でる強烈なV6の加速がまたたまらない!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! V8ミドシップ・シリーズに代わるPHEVの新世代モデル、296のスパイダー版、296GTSに乗った清水和夫さん、九島辰也さん、佐野弘宗さんのホンネやいかに? 【写真30枚】120度Vバンク角を持つ3リッターの完全バランスのV6PHEVのフェラーリ296GTSの詳細画像はこちら ◆「バーゲン・プライス!」清水和夫 フェラーリの120度Vバンク角を持つ3リッターの完全バランスのV6から試乗が始まった。バンク内にターボを装備し663psを絞り出す。これに167PSのモーターがアシストするのだ。バッテリーはリアの低い位置に搭載され、その容量は7.45kWh。 モーターだけで走れる距離は25kmだが、きっとフェラーリ・オーナーはエンジン音を聞きたくて、EV走行では我慢できないだろう。こんな風に言っている筆者自身も我慢できずに、すぐにEVモードから離脱した。 音がないモーターの加速から、美しい音を奏でる強烈なV6の加速。この対照的なパワー感がたまらない。 ところで、最速のフェラーリであるSF90XXStradaleは1030psを誇るが、296GTBは830ps。なんと価格は3分の1。公道では1億円もするマシンとあまり変わらないパフォーマンスなので、バーゲン・プライスかもしれない。 V8シンパにとってV6はどうなのと不安もある。だが、120度バンクのV6は8500回転も回るし、その音は聞き入ってしまうほどだ。フェラーリはこのV6 PHEVをドライビング・プレジャーの再定義と言っている。隣に座るEPC会員と顔を見合わせて納得した。 ◆「見ても乗ってもアガる!」九島辰也 フェラーリのエンジン・スタート・ボタンに触れて元気にならない人はいないと思う。というか、元気が出過ぎてアドレナリン全開! という状態になる人も少なくないだろう。 今回ステアリングを握った296GTSもそうで、ガソリン・エンジンにモーターが追加されてもそれは変わらない。おおよそかつてのような迫力のブリッピング音は聞けないが、モンスター・マシンに電源が入り、モニターが起動、いよいよスタートという気分になる。 走りは言わずもがなのレーシングカー・テイスト。ステアリングを切るとドライバーを軸に鼻先の向きを変える姿勢がたまらない。目線の動きは独特だ。絵に描いたようにクルッと回転する。「これ、ほんとに公道走っていいの?」なんて気持ちになる挙動だ。 動的性能だけではない。フェラーリはスタティックな状態でも見る者を魅了する。ワイド&ローの車体はまんまレーシングカー。ボンネットの低さもそうだし、地上最低高も尋常じゃない。それにリア・ウィンドウから覗けるパワーユニット。美術館に飾られるアート作品のようだ。こんなもんがガレージにあったら元気満点になる。 ◆「V6でもフェラーリ」佐野弘宗 最新のフェラーリ・ミドシップはV6エンジン……と聞いて、条件反射的に「かつてフェラーリを名乗れるのは12気筒だけだった。しかもV6といえば、ディーノだろ?」とツッコミを入れてしまうのは、スーパーカー・ブームの洗礼を受けた50代オヤジの性(さが)である。とはいえ、この296GTB/GTSがフェラーリ製市販車としては1974年までつくれらたディーノ246GT以来のV6であることは事実だ。 もっとも、その3リッター V6ターボにはモーターが組み合わせられている。830psというプラグイン・ハイブリッドのシステム出力は、前身となったF8トリブートの3.9リッターV8ツインターボの720psを大きくしのぐ。それゆえ、アクセルひと踏みで背中を蹴っ飛ばされたかのようにアドレナリン出まくり……なのはもちろん、乗っている人間を元気にさせるのは、その音だ。どこをどういう演出をしているのかは分からないが、中速域までは適度なツブツブ感を残しつつ、そこからはすべてが溶け合うように8500rpmまで高まっていく。ハイブリッドで8500rpmて。V6でもフェラーリはフェラーリですね。 写真=茂呂幸正(人物)/小林俊樹 (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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