熱意と功績たたえ東奥賞贈呈 パリ五輪・近代五種「銀」佐藤さんら1個人2団体に
東奥日報社は7日、産業、経済、スポーツ、学術、文化、医療福祉など各分野で活躍し、青森県の発展に貢献した個人や団体に贈る「第77回東奥賞」の贈呈式を青森市のホテル青森で開いた。本年度は、パリ五輪近代五種男子で銀メダルに輝いて日本勢初の表彰台に立った青森市出身の佐藤大宗さん(31)=東京都在住、国内初の前立腺がんマーカー検査法を開発した弘前大学前立腺腫瘍マーカー研究チーム(弘前市、代表・大山力名誉教授)、「下北ジオパーク」(むつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村)の活動を精力的に支えている住民団体(下北ジオパークサポーターの会=小田桐隆夫会長、下北ジオパークガイドの会=原英輔会長)の1個人・団体2件に贈った。 佐藤さんは五輪で人生を変えようと、海上自衛隊入隊翌年の2013年から自衛隊体育学校で競技を始めた。東京五輪を逃し、一度は引退を決意したが再起。「究極の負けず嫌い」という性格も後押しして日本のエースに成長した。パリ五輪は馬術、フェンシング、水泳、レーザーラン(射撃とランニング)の全種目で攻めの姿勢を貫き奮闘。五輪採用から112年の歴史がある近代五種で、日本勢初の偉業を成し遂げた。 弘前大学大学院・先進移植再生医学講座の大山名誉教授(67)=県病院事業管理者=が率いる研究チームは、富士フイルム和光純薬(本社大阪市)と共同で前立腺がんを調べるマーカー検査法(血液検査法)を22年に国内で初めて開発。24年に保険適用された。精度が高い上、痛みや感染症リスクのある不要な針生検を減らすことができ、現在は全国の医療機関で月千件ほど利用されている。 下北ジオパークサポーターの会は、ジオサイトの清掃活動や関連商品の考案・啓発に尽力。下北ジオパークガイドの会はガイドの育成のほか、訪れた人にジオパークの価値や魅力を分かりやすく解説している。両団体は、今夏開かれた日本ジオパーク全国大会下北大会を盛り上げるなど、住民の立場から地域振興に貢献している。 贈呈式では東奥日報社の釆田正之社長が受賞者に賞状とメダルを贈り、「それぞれの分野でたゆまぬ努力を積み重ね、功績を挙げてこられた。さらなるご活躍を心から願う」とあいさつ。宮下宗一郎知事代理の小谷知也副知事は「皆さまの熱意と功績は県民の誇り。その活躍は本県のスポーツ、学術、文化の振興に大きな力を与えている」と祝辞を述べた。 佐藤さんの母校青森山田高校の相馬季明副校長、弘前大学の福田眞作学長、日本ジオパーク委員会の宮原育子副委員長もそれぞれ祝辞を述べた。 東奥賞は1948(昭和23)年、東奥日報創刊60周年と紙齢2万号を記念して東奥日報社が制定した県民顕彰。今回を含め172個人・95団体に東奥賞、9人に特別賞、7人に特別顕彰、2人に特別栄誉賞、1人に特別大賞を贈っている。