「沖縄アクターズスクール」を創業し、日本のダンスミュージックの礎を築いたマキノ正幸さん＝２０２２年５月

国民的歌手、安室奈美恵さん（４６）らを発掘した「沖縄アクターズスクール」の創業者、マキノ正幸（まきの・まさゆき）さんが６月２８日に敗血症性ショックのため死去したことが１日、分かった。８３歳だった。１９９０年代に安室さんやＳＰＥＥＤ、ＤＡ　ＰＵＭＰらを送り出し、Ｊ－ＰＯＰやダンスミュージックに多大な貢献を果たした。長女で振付師、牧野アンナさん（５２）はＳＮＳで家族葬を済ませたことなどを報告した。 【表でみる】沖縄アクターズスクールの主な出身者 １９９０年代に沖縄からブームを巻き起こし、日本のダンスミュージックの礎を築いた偉大な〝校長〟が逝った。 長男、牧野彰宏氏が代表を務める「沖縄アクターズスクール」のＨＰで「かねてより病気療養中のところ、永眠いたしました」と発表。アンナさんもインスタグラムに「葬儀は家族のみにて執り行いました。故人の意向により告別式、お別れ会などは行いません」とつづった。 マキノさんは映画監督のマキノ雅弘氏を父、女優の轟夕起子さんを母に持ち、祖父は「日本映画の父」と呼ばれた牧野省三監督、俳優の長門裕之さん、津川雅彦さんがいとこという芸能一家で生まれ育った。 ７１年に沖縄へ渡り、８３年に長門さんを理事長に迎えて那覇市で芸能学校、沖縄アクターズスクールを開校。技術指導に加え、「生徒が自分の才能を伸ばす」ことに重点を置いた育成法で個性を引き出した。米軍基地がひしめく沖縄は米音楽の影響を色濃く反映した文化的土壌があり、逸材が次々と誕生。東京の芸能界も注目する中、９２年に芸能事務所、ライジングプロダクションと提携したことで扉が開かれた。 音楽のみならずファッションも社会現象となった安室さんをはじめ、女性４人組のＭＡＸ、平均年齢１３歳の少女４人組、ＳＰＥＥＤ、男性グループのＤＡ　ＰＵＭＰらを輩出。沖縄発のダンスミュージックブームを作り上げた。 ＭＡＸのＮＡＮＡ（４８）は「厳しくも温かく、たくさんのことを教えてくれた」と人柄をしのび、「歌やダンスだけでなく、どんな逆境にも負けない強い心で生きていく術を学びました」と振り返る。「出会えたこと、今いる場所へ導いてくれたこと、感謝の気持ちでいっぱいです」とも。スクール出身者はモデルの山田優（３９）や女優の満島ひかり（３８）、黒木メイサ（３６）ら多彩だ。 ２０００年代には全国展開もしたが、芸能界との溝ができ、経営から手をひいた。２２年に彰宏氏とスクールを復活させたアンナさんは「これからもしっかりと守りつないでいきます」と天国へ呼びかけた。マキノさんも喜んでいるに違いない。