杉山清貴、変わらぬ歌声が彩る極上の空間 熟練バンドと届けたツアー『古いシネマを観るように、、、』
杉山清貴のコンサートツアー『Sugiyama Kiyotaka Concert Tour 2024「古いシネマを観るように、、、」』の最終公演が12月21日、昭和女子大学 人見記念講堂で開催された。 【写真】杉山清貴、デビュー40年を経ても変わらぬ歌声で魅了 『古いシネマを観るように、、、』という副題が添えられた今回のツアーは、そのタイトルの通り、まるで映画のワンシーンが浮かび上がってくるかのように繰り広げられていたのが印象的だった。1曲目は「Too good to be true」からスタート。メロウかつグルーヴィーなサウンドが響き渡ると、会場から自然と手拍子が起き、温かなムードで幕を開けた。 歌い終えると、杉山はすぐに演奏陣を紹介した。アーティストによってはメンバー紹介をライブ終盤に行うことも多いが、この日の杉山はいきなり演奏陣にスポットライトを当てた。それは彼らに対する絶大な信頼があるからこそだろう。メンバーは西脇辰弥、堀川真理夫、住友紀人の3人。全員がマルチプレイヤーで、楽曲によって使用楽器を変化させ、多種多様な世界観を的確にパフォーマンスする。 次に映画『ノッティングヒルの恋人』主題歌「She」(エルヴィス・コステロ)のカバー、「風が止んでも」、「プリズム・レインに包まれて」の3曲を続けて披露した。腕利きのプレイヤーたちの洗練された演奏によって、楽曲の世界観がまさに映画のように浮かび上がってくる。終始、極上のサウンドに身を委ねたくなるような時間が続いた。 ここからは出演者が一人ひとり、映画にまつわるエピソードを話していくのがツアーのお決まりとなっている。この時間は杉山の番。杉山は冗談も交えつつ、1964年のディズニー映画『メリー・ポピンズ』についての思い出を話していった。リラックスした空気のなか、軽快なトークによってさらに和んだ雰囲気で次の曲へ。 歌ったのは「PARK SIDE ROMANCE」と「Rainy Day in New York」。ここからハープやサックスが登場し、サウンドに幅が出てきた。一方で、杉山の歌声は伸びやかで、ライブが進めば進むほど力強さを増していく。1980年代にデビューして40年以上経った今もなお衰えを知らないその歌声は、ほかの楽器に勝るとも劣らないパワフルさを発揮している。音程を一瞬たりとも外さないその緻密な歌唱力にも舌を巻いた。