「ついていった方が悪い」という自己責任論で片付けてはいけない。ドラマ『SHUT UP』が描いた性的同意、貧困・格差の問題
性的同意、性被害の実情を誠実に描く
このドラマの大きな特徴は、性暴力について本当に丁寧に描かれていること。中でも、性的同意や、被害に遭った人が声を上げられない現状について、こんなにしっかりと描いた作品は珍しいように感じます。 事態が進んでいく中で、被害者は恵だけではなく、サークル内で性暴力が横行していたことが分かります。由希たちはその証拠を集めようと、複数の被害者と接触し話を聞きます。 「私は人間じゃなくて、ただ、女っていう記号でしかないんだって思った」「したくない人とそういうことしたってこと忘れたくて。でも消えるわけなくて」。 被害者は心に大きな傷を負い、今も苦しみ続けていることが分かりますが、決定的な証拠は見つかりません。LINEのトーク画面を見ても、加害者は何事もなかったかのようにいつも通りのメッセージを送っているし、被害者たちも普通に返信しています。よく、被害に遭ったら警察に行けばいい、と言いますが、被害者は自分を責めるし、決定的な証拠をとるのは難しい現実があります。
文/ヒオカ 構成/金澤英恵
ヒオカ