復興拠点となった石巻専修大学、卒業生は4割減 現状を追った
石巻専修大生、4人に会えた
ようやく会えた一人目は2年生の小川裕稀君。青森県八戸出身で、バスに乗って実家に帰るところだった。なぜ青森県を出て、石巻専修大学に入学したのか。 「石原慎士教授のもとで勉強したくて、志望しました」。 石原教授のゼミでは、東日本大震災で被災した企業と、地域の産業を繋げ、復興の足がかりになる商品を開発している。「サバだしラーメン」は発売から約2年で17万食を出荷。小川君は高校生の時に石原教授の取り組みを知り、石巻専修大学を第一志望にした。現在、石原教授のゼミで勉強している。 「大事なことは大学で何を学んだのか。もっと多くの人に私たちの活動や商品を知ってもらい、石巻に興味をもってもらいたい」とはつらつと話してくれた。
次に会えたのは福島出身の2年生、高橋君(仮名)。入学理由はこうだ。 「国立大学の情報系の学科を落ちたんで、私立で同じ学科を探したら、ここになりました」 第一志望でない大学に最初は葛藤はあったものの、自分のやりたいことができているので満足しているという。休日はC言語の勉強に明け暮れるほど、のめり込んでいる。 一方で、大学が「Fラン」と評価されていることについてはどう思っているのか? 「仕方ないと思いますが、自分はやりたいことをやれています。将来はシステムエンジニアになります」。歯切れ良く答えてくれた。
山上君(仮名)は3年生。「親からとりあえず大学へ行けと言われたので、指定校推薦を受けました。本当は学院(東北学院大学)とか行きたかったけど、そこまで頭良くないし」と話す。 将来は事務職でパソコン仕事をしたいと思い、経営学部を選んだ。しかし今は、新たな目標ができたそうだ。「母と旅行で行ったホテルマンが格好良くて、観光事業に関わるのも良いかなって思ってます」。バンドでベースを担当し、練習のために仙台に行くこともしばしば。プライベートも充実していた。
石巻市出身の大友亮裕君4年生。 「一浪したんですけど、不本意っていうかまあ…本当に入りたかったわけじゃなくて滑り止めでしたね。日本酒を作る人になりたくて、東京農工大学の醸造学部を受けていました。でも酒蔵にインターンとか行ってみたりしたんですけど、なんだかしっくりこなくて」 2年生まで大学生活の理想と現実とのギャップに葛藤していたそうだが、何かが変わるきっかけになれば、と考えて3年生からヤフーのインターンへ参加。これが転機となり、一気に世界が広がったそうだ。 「いろいろな人に会わせてもらって、こんなにカッコいい大人がいるんだって知りました。僕も将来は、過去の僕のような内向きな学生の世界を広げるような大人になりたいです」。力強く語ってくれた。