笠間獅子舞に初の女性剣士 金大1年・荒川さん「伝統に恥じぬ演舞を」
●白山、15日祭礼 白山市笠間町に伝わる笠間獅子舞の花形で、獅子と戦う「剣士」役に初めて女性が登場する。地元の荒川葉瑠那(はるな)さん(18)=金大1年=で、15日に町内一帯で繰り広げられる笠間神社秋季祭礼の獅子舞演舞がデビューとなる。荒川さんは本番に向けて稽古に余念がなく、勇ましく優美になぎなたを操りながら、「笠間の伝統に恥じないよう頑張る」と意気込んでいる。 荒川さんは笠間中2年の時、笠間獅子舞に参加していた兄や獅子舞保存会のメンバーの姿に憧れ、友人と一緒に「児童剣士」として祭りに参加した。子どもながらに、魅力に引き込まれ、いつか剣士として晴れ舞台を経験したいとの思いが強まった。 コロナ禍で中止していた祭りが4年ぶりに復活した昨年、荒川さんは剣士役での参加を考えたが、大学受験を控えていたため見送った。金大生となった今年は、「絶対に務めたい」と名乗りを上げ、保存会の了承を得た。 明治初期から受け継がれている笠間獅子舞は、地元の青壮年団が中心的に担ってきた。慣例として地元の男性陣が獅子と剣士の両方の役割を演じている。女性は、2013年から児童が剣士として参加したが、大学生以上の剣士は荒川さんが初めてとなる。 笠間町弓掘会館前で行われている稽古で5年ぶりになぎなたを握った荒川さんは「感覚を忘れていたと思っていたけれど、体は覚えていた」と話す。祭礼が近づく中、本番と同じ衣装に身を包み、獅子の動きに合わせてなぎなたを自在に振る動作を繰り返している。 連日の稽古を見守る笠間獅子舞保存会の西浦稔会長(71)は「荒川さんをきっかけに、女性剣士の参加が増えるとうれしい。新しい風を吹かせてほしい」と期待した。荒川さんら剣士と獅子舞の約40人は15日、町内を終日練り歩き、五穀豊穣(ほうじょう)に願いを込める。