《2024 兵庫県知事選》前尼崎市長・稲村和美氏「かつてない危機 対話と信頼、改革“待ったなし”
パワーハラスメントなどの疑惑を告発した文書問題で、斎藤元彦・前知事の失職に伴い行われる兵庫県知事選挙に、前尼崎市長の稲村和美氏(51)が8日、立候補を正式に表明した。 ディープな街で知った「市民との一体感」前尼崎市長・稲村和美さん 稲村氏は奈良市出身。神戸大学在学中に起きた阪神・淡路大震災で、ボランティアとして避難所運営に携わった。 卒業後、証券会社勤務を経て、2003年から2期7年、兵庫県議会議員を務めた。 2010年に38歳で尼崎市長選挙に無所属で立候補し初当選した。 当時、女性市長としては全国最年少で、任期中は財政改革や子育て支援、暴力団排除などの政策を行った。 稲村氏が立候補を決意したのは、県議会で不信任決議を受けた斎藤前知事が失職と出直し選挙出馬を表明した9月26日。 半年に及んだ告発文書問題、現在百条委員会や第三者委員会の真っ只中。「議会や県民との信頼関係が崩れている。かつてない危機だ」。 阪神・淡路大震災から30年を目前に、歯がゆい思いだったという。 周囲からの声に押され、「このままじゃだめだ。県民不在になっている。簡単な挑戦ではないが、今こそ風通しの良い県政、信頼される、連携できる県政にしなければ」。気持ちは固かった。 今回の知事選に臨むにあたり、テーマとして「対話と信頼なくして、改革なし」を挙げた。 証券会社時代配属された営業と人事部門の経験から、職員のモチベーションを生かし、「知事の顔色を見るのではなく、県民に向いた仕事をしているかが重要」と語った。 斎藤前知事や県幹部の一連の対応について、稲村氏は、「当初から告発された側が公益通報もせずに、第三者の調査に委ねなかったのは違和感があった。一連の過程の中で、そのやり方を見直すチャンスは何度もあったはず」と指摘した。 そして、「兵庫県民の皆さんが、『公益通報』について最も関心を持つようになったのでは」と話した。 こうしたことから、改革のひとつとして、文書問題への対応の検証や、知事・副知事といった特別職も対象にしたハラスメント防止条例の制定などを視野に入れている。 そして、将来負担(現在抱えている負債)が全国ワーストとされる兵庫県の財政状況について、前知事時代に改善はみられたものの、「借金返済を続ける中で、収支を圧迫させてはいけない。これは(市長を務めた)尼崎市でも同じ」と、これまでの実績も踏まえ「待ったなしの改革」を進めたいとした。 一度は政治からの引退を考えていた。しかし「県政の混乱と停滞をこのままにしておけない。もう一度頑張りたい。県民の声が届く風通しの良い県政にしなければ」と抱負を語った。 市民らによる政治団体からの要請を受け、無所属での出馬となる。 兵庫県知事選には、稲村氏のほかに、失職した前知事・斎藤元彦氏(46)、日本維新の会所属の参議院議員・清水貴之氏(50)、元経済産業省官僚・中村稔氏(62)、日本共産党が推薦する医師・大沢芳清氏(61)、元同県加西市長・中川暢三氏(68)、レコード会社経営の福本繁幸氏(58)が立候補する見込み(10月8日現在)。
ラジオ関西